2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450115
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒河 博文 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (80359546)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は毒性化合物センサーであるKeap1が、様々なストレス化合物と結合し、これによる三次元構造変化を通して、ストレスシグナルを下流の生体防御系の活性化へと導く分子機構の解明を目指したものである。Keap1はストレス化合物と結合することで構造を変化させる分子スイッチであると考えられるため、本研究では化合物と結合前後の分子レベルの構造変化を結晶構造解析により明らかにすることを目指している。 前年度は生化学的な解析として、種々の化合物と組換型Keap1センサーとの相互作用解析を実施した。また、センサーシステインを変異させた変異型Keap1、およびセンサー領域に加えてパートナー分子との相互作用する部位を含んだKeap1の組換蛋白質について大量発現と高純度精製および結晶化スクリーニングを実施した。これにより、変異型Keap1の微結晶を得ることに成功した。しかし、放射光施設の強いX線を用いても、X線回折を確認することができなかった。 本年度は、まず、変異型Keap1の結晶化条件の改善を行い、二種類の変異型Keap1について10~50ミクロン程度の結晶を得ることができた。つくば高エネ研のPhoton FactoryにてX線回折実験を実施したところ、構造解析に十分な3.2Å分解能のX線回折を確認した。しかし、複数の結晶が重なった状態で結晶化をするため、単結晶のデータを取得することができなかったため、さらなる結晶化条件の検討を行った。これと平行して、より良質な結晶化が得られるように、Keap1分子表面の変異導入実験も行いKeap1組換蛋白質の大量発現を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
結晶化に適した蛋白質サンプル調製に予想以上に時間がかかってしまったため。6月までは定期的に放射光施設でX線回折実験を実施できたが、その後の秋から冬にかけて放射光施設のビームライン工事が行われ、実験時間を得ることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
放射光施設の工事も完了し、次年度はビームタイムを確保できる見通しである。構造解析が可能な結晶は得られているため、X線回折実験を実施し構造解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初、放射光施設における共同利用実験を秋から冬にかけて3回程度実施する予定であったが、8月の時点でビームタイムを得られないことが判明した。これらの実験に関わる消耗品費や旅費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
放射光施設における共同利用実験のための試料調製に関わる物品費および旅費に使用する予定である。
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