2014 Fiscal Year Research-status Report
植物の細胞生死を制御するジスルフィド産生系の分子機構
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26450116
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
恩田 弥生 山形大学, 農学部, 助教 (70368463)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物 / 酵素 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質ジスルフィド結合(二つのシステイン残基間共有結合)の形成は一連の電子伝達反応により駆動され、基質分子から引き抜かれた電子は最終的に酸素分子へと伝達され、結果、過酸化水素が発生する。過酸化水素は活性酸素種の一つであり、シグナルメッセンジャーとして重要な機能を有する一方でタンパク質・核酸・脂質に重大な傷害を与えることから、タンパク質ジスルフィド結合形成の反応駆動と同時に過酸化水素発生の時間的・空間的制御が細胞機能・生存にとって必須となる。本研究は植物におけるタンパク質ジスルフィド結合形成と過酸化水素産生・崩壊の制御機構を明らかにすることを目的とし、酸素分子を酸化力供給源としたジスルフィド産生反応及びジスルフィド伝達反応に着目する。研究実施計画に基づき、平成26年度はイネ及びシロイヌナズナのゲノム情報を利用してジスルフィド産生を司る酵素タンパク質をコードする遺伝子の探索・同定を行い、候補分子種を単離した。ジスルフィド産生酵素候補分子種の発現を抑制した形質転換植物系統を作製・選抜している。一連のタンパク質ジスルフィド結合形成はジスルフィド産生とジスルフィド伝達の二つの反応から構成され、ジスルフィド産生酵素により生成されたジスルフィドはジスルフィド伝達酵素を介して基質分子へと伝達・導入される。ジスルフィド伝達反応を制御していると予想されるチオール-ジスルフィド酸化還元酵素群について反応特性解析を進めた結果、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)1;1が高いジスルフィド伝達能と高いグルタチオン濃度依存的ジスルフィド還元能を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は平成26年度研究実施計画に基づき、植物細胞におけるジスルフィド産生の分子機構を明らかにすることを目的とした。酸素分子を酸化力供給源としたジスルフィド産生反応を駆動するジスルフィド産生酵素について候補分子種の探索・同定を行い、機能解析を進めている。更に、ジスルフィド産生酵素から基質分子へのジスルフィド伝達を制御していると予想されるチオール-ジスルフィド酸化還元酵素群について反応特性を解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究成果に基づき、ジスルフィド産生酵素が植物細胞の発達、機能、形態に果たす役割を逆遺伝学的手法により調べ、植物細胞におけるタンパク質ジスルフィド結合形成と過酸化水素産生・崩壊の制御機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成26年度研究実施計画である酵素反応解析において、タンパク質調製や解析系構築が当初計画以上に迅速に進展し、cCMP等高額な試薬の購入量を抑えることが可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は生化学・細胞生物学実験機器及び研究試薬等物品の購入に使用する。
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Remarks |
http://www2.yz.yamagata-u.ac.jp/tenure/researchers/onda.html
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