2014 Fiscal Year Research-status Report
脂質修飾タンパク質の網羅的探索に基づく新規バイオマーカーの発見と応用
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26450125
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
内海 俊彦 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20168727)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | N-ミリストイル化 / プレニル化 / タンパク質脂質修飾 / バイオマーカー探索 / 細胞情報伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず、平成23-25年度の科学研究費補助金の研究課題(No.23580136)において確立したヒトN-ミリストイル化タンパク質の網羅的同定法を、タンパク質C-末端に生ずる脂質修飾であるプレニル化に応用し、ヒトプレニル化タンパク質の網羅的探索法の確立を試みた。その結果、無細胞タンパク質合成系における代謝標識を用いた解析から、タンパク質N-ミリストイル化の検出とは異なり、タンパク質プレニル化の検出においてはC末端領域をモデルタンパク質C末端と置換した融合タンパク質を用いた場合には検出が不可能であり、全長cDNAを用いた解析が必要であることが明らかになった。またプレニル化の検出においては、無細胞タンパク質合成系の由来により検出結果が異なり、ヒト由来プレニル化タンパク質の検出には哺乳動物由来の無細胞タンパク質合成系の使用が好ましい事が示された。そこで、ヒトcDNAリソースからC末端にCaaXモチーフと呼ばれるプレニル化を指令するコンセンサス配列を持つ候補タンパク質を選出し、全長cDNAを用いてウサギ網状赤血球由来ライセートによる無細胞タンパク質合成系における代謝標識によってプレニル化タンパク質の同定を試みたところ、これまでに報告されていない新規ヒト由来プレニル化タンパク質の同定に成功した。またヒトN-ミリストイル化タンパク質については、これまでに確立した手法をアイソフォームを含む約46,000個のSwiss-Protに収録されたヒトタンパク質に適用して解析を行った結果、100個を超える新規N-ミリストイル化タンパク質候補を見い出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した、「これまでに確立したN-ミリストイル化タンパク質の網羅的探索法をタンパク質プレニル化に応用し、ヒトプレニル化タンパク質の網羅的探索法を確立する」という平成26年度の「研究の目的」は達成されたと考える。また、ヒトN-ミリストイル化タンパク質については、Swiss-Prot収録タンパク質から100個を超える新規N-ミリストイル化タンパク質候補を見出す事に成功しており、初年度の研究進行状況としては順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、全ヒトタンパク質を対象とした網羅的な解析が進行しているN-ミリストイル化タンパク質に焦点をしぼり、平成26年度の本研究で見出された新規N-ミリストイル化タンパク質候補のうち、疾患や細胞情報伝達に関与すると予測されるタンパク質について解析を行う。即ち、遺伝子導入細胞および各種のがん細胞株を用いて、以下の [1]~[3]の方法によりタンパク質機能発現におけるN-ミリストイル化の役割を明らかにし、がんを始めとする疾患との関連について解析するとともに、バイオマーカーとしての利用の可能性について検討する。 [1] 新規N-ミリストイル化タンパク質cDNAのヒト由来培養細胞への遺伝子導入に伴う細胞増殖、細胞形態変化、細胞死等の細胞の表現型の解析 [2] N-ミリストイル化を阻害した変異体、およびN-ミリストイル化阻害剤を用いたタンパク質機能発現におけるN-ミリストイル化の機能解明 [3] RT-PCR法による各種臓器由来がん細胞での発現レベルの解析と、RNAi法およびN-ミリストイル化阻害剤を用いたがん化とN-ミリストイル化との関連性の解析 これら [1]~[3] の解析により得られた実験結果を総合的に評価し、新たに見出されたN-ミリストイル化タンパク質の疾患との関連について考察し、疾患バイオマーカーとして、あるいは疾患治療のための標的分子としての利用の可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、脂質修飾の解析法の確立に重点を置いたため、当初予定していたヒト全タンパク質を対象とした機能解析実験に要する消耗品費の使用額が少なく、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に生じた次年度使用額は、特にタンパク質の機能解析に必要となる消耗品費として平成27年度の請求額と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] A cell-free translocation system using extracts of cultured insect cells to yield functional membrane proteins.2014
Author(s)
Ezure T, Nanatani K, Sato Y, Suzuki S, Aizawa K, Souma S, Ito M, Hohsaka T, von Heijine G, Utsumi T, Abe K, Ando E, Uozumi N.
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 9
Pages: e112874
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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