2017 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of Pyruvate Dehydrogenase Kinase
Project/Area Number |
26450126
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣政 恭明 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40291934)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アロステリック効果 / タンパク質の動的構造変化 / 機能制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の中心課題は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体をリン酸化する特異的キナーゼ(PDK)の制御機構の解明を目指し、制御因子がキナーゼに及ぼす動的構造変化の解明を試みるものである。まず、昨年に続き、PDK2のC末端領域の運動の活性部位への影響についてCys 384の化学修飾を用い調べた。マレイミドによるCys384の修飾により、蛍光測定よりC末端領域の運動性が増加すること、超遠心分析よりリポイルドメインとの相互作用が失われることが分かった。これらの結果は、クロスアーム構造の形成に変化が生じたことを示している。さらに、定常光を用いた蛍光分析からヌクレオチドやピルビン酸との相互作用に変化が生じたことが分かった。これらは、クロスアーム構造の形成が、活性部位やリガンド結合部位(ピルビン酸)にアロステリック効果を生じることを示唆している。また、本結果は、Hurdらが以前示唆した細胞中のCys384の化学修飾による機能制御についての分子機構を、支持するものである。 PDK1は、がん細胞に特異的に高発現するPDKのアイソザイムである。PDK1についてPDK2と同様の方法を用い調べた。PDK1については、ヌクレオチド、ピルビン酸などリガンド結合による効果を、定常光に加え、時分割蛍光測定による動的構造変化の測定を行った。ヌクレオチドの結合による蛍光変化は、PDK2に比べ小さい。リガンドの相互作用は、PDK2に比べるとATP、ADP、ピルビン酸ともに弱いことが分かった。また、リガンドとの相互作用によるリポイルドメインとの相互作用については、PDK2に比べ協同性が小さいことが分かった。一方、PDK2同様、アロステリック効果がC末端ドメインに運動性の増加を生じ、リポイルドメインとの解離を生じることが確認された。これらの結果を併せ、PDK2との効果の違いに焦点を当て投稿準備をしているところである。
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