2014 Fiscal Year Research-status Report
微生物の生産するメタロ-β-ラクタマーゼ阻害物質の探索
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26450142
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
塩見 和朗 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (40235502)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗生物質 / グラム陰性病原細菌 / 薬剤耐性 / メタロ-β-ラクタマーゼ / 酵素阻害物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はこれまでに連携研究者によって調製・供給された10,426検体の微生物培養液サンプルを用いて、メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌であるEscherichia coli KB366, Klebsiella pneumoniae KB365およびPseudomonas aeruginosa KB375を検定菌としてメタロ-β-ラクタマーゼ耐性克服活性を有する微生物培養液の選抜を行った。高活性培養液の選抜のため、以下の一次から三次までのスクリーニングを行った。一次スクリーニング通過サンプル(メロペネム含有培地上で阻止円が確認された検体)は82検体。二次スクリーニング通過サンプル(メロペネム含有、非含有で選択性が確認できた検体)は26検体。三次スクリーニング通過サンプル (亜鉛を添加して阻止円を維持した検体)は15検体であった。 メタロ-β-ラクタマーゼ耐性克服活性の強い上記15検体について、活性物質を生産する微生物の同定後に、それら生産菌から培養液を再調製し、活性の再現性を検討した。その結果、活性の再現したメタロ-β-ラクタマーゼ耐性克服活性物質の生産菌をそれぞれPenicillium sp. FKI-7124, Chaunopycnis sp. FKI-7377, Pochonia sp. FKI-7145, Pochonia sp. FKI-7316, Pochonia sp. FKI-7354、Pochonia sp. FKI-7355およびPaecilomyces sp. FKI-6801と同定した。 そのうちPaecilomyces sp. FKI-6801の培養液からは活性物質を精製し、1化合物を単離した。各種機器分析よりその構造は3Z,5E-octa-3,5-diene-1,3,4-tricarboxylic acid 3,4-anhydrideと同定した。本化合物はすでに糸状菌の生産物として報告されていたが、メタロ-β-ラクタマーゼ耐性克服活性は新知見であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度はスクリーニングを行い、メタロ-β-ラクタマーゼ耐性克服活性の強い培養液からの活性物質を精製していく計画であった。 当初の計画を上回るペースで10,426検体の微生物培養液サンプルを用いて、スクリーニングを実施した。その結果、メタロ-β-ラクタマーゼ耐性克服活性の強い15検体の培養液を選抜できた。 加えて、その15検体を生産する生産菌をそれぞれChaunopycnis sp. FKI-7377, Penicillium sp. FKI-7124, Pochonia sp. FKI-7145, Pochonia sp. FKI-7316, Pochonia sp. FKI-7354およびPochonia sp. FKI-7355と同定できた。現在、Pochonia sp. FKI-7145およびPochonia sp. FKI-7355の2株の培養液からの活性物質の単離・精製を実施している。 さらにPaecilomyces sp. FKI-6801の培養液から活性物質を精製して1化合物を単離し、その構造を3Z,5E-octa-3,5-diene-1,3,4-tricarboxylic acid 3,4-anhydrideと決定した。本化合物はすでに糸状菌の生産物として報告されていた(J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 (1980) 2134)が、メタロ-β-ラクタマーゼ耐性克服活性は新知見であった。本化合物はメタロ-β-ラクタマーゼ産生菌であるEscherichia coliおよびKlebsiella pneumoniaeに対するメロペネムの抗菌活性を回復し、その効果は相乗的であった。しかしメタロ-β-ラクタマーゼ産生Pseudomonas aeruginosaに対しては弱い効果しか示さなかった。なお、本化合物については特許出願を行った。 また、平成27~28年度にはin vitroメタロ-β-ラクタマーゼ阻害活性試験を実施する予定である。阻害活性はメタロ-β-ラクタマーゼで開環することにより比色定量できるニトロセフィンを用いる。酵素阻害活性を測定するために、メタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子のクローニングを行い、今年度はタンパク質発現ベクターの構築を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27~28年度においても連携研究者によって調製・供給される微生物培養液サンプルを用いて、メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌であるEscherichia coli KB366, Klebsiella pneumoniae KB365およびPseudomonas aeruginosa KB375を検定菌としてメタロ-β-ラクタマーゼ耐性克服活性を有する微生物培養液の選抜を行う。加えて、選抜された微生物培養液についてin vitroメタロ-β-ラクタマーゼ阻害活性試験を実施し、メタロ-β-ラクタマーゼ阻害物質を含んだ微生物培養物を再選抜し、効率的に活性物質を精製していく計画である。 平成26年度に単離・構造決定された活性物質については、その活性物質の誘導体合成を計画し、強力なメタロ-β-ラクタマーゼ阻害活性を有する活性物質の取得も試みる。活性物質選抜後には、各種検定菌によるメタロ-β-ラクタマーゼ耐性克服活性、in vitroメタロ-β-ラクタマーゼ阻害活性の詳細な検討およびβ-ラクタム薬併用時における各種メタロ-β-ラクタマーゼ生産菌に対する抗菌スペクトルを測定する。これら試験によって優れた活性を示した活性物質については、連携研究者らによるβ-ラクタム薬を併用したマウス感染モデル系での治療効果を検討する。
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