2014 Fiscal Year Research-status Report
脳内環境を保護するトリプトファン代謝鍵酵素の食品成分による制御機構
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26450150
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
江頭 祐嘉合 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (80213528)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トリプトファン / NAD / ナイアシン / キノリン酸 / ファイトケミカル / 炎症 / ミクログリア / ACMSD |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノカルボキシムコン酸セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)、キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ、インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)は、神経毒キノリン酸の生成に影響を与えることが報告されている鍵酵素である。キノリン酸はトリプトファン・NAD転換経路の中間代謝産物であるが、何らかの理由により脳内に多量に存在するとNMDA受容体を介して神経細胞を変性させることが報告されている。ACMSDは様々な環境要因(栄養成分、ホルモン)で活性が変動し、IDOはある種の炎症により活性が誘導される。しかしこれらの酵素のファイトケミカルを含む食品成分や栄養状態による影響および分子レベルの調節機構の詳細は明らかではない。そこで本研究では、これらを明らかにすることを目的とした。 赤葡萄などの果皮に含まれるポリフェノールの1種レスベラトロールをラットに与え、トリプトファン代謝酵素の変動を調べた結果、レスベラトロールはACMSD活性に影響を与えなかった。エネルギー制限時のラットのトリプトファン代謝酵素の変動を調べた結果、エネルギー制限(カロリー制限)をかけると有意にACMSD活性及び遺伝子発現量が上昇し、キノリン酸の産生を低下させる可能性が示唆された。 脂質代謝調節転写因子が結合すると推定されるACMSDのプロモーター部位のレポータープラスミドを作成した。 ミクログリア細胞の培養液にLPSとある種のファイトケミカルを添加し、トリプトファン代謝鍵酵素の発現を制御する成分をスクリーニングした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)エネルギー制限下では、ラットのACMSD活性及び遺伝子発現量が上昇し、キノリン酸の産生が低下する可能性が示唆された。2)ACMSDのプロモーター部位のレポータープラスミドの作成ができたことより、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
様々なレポータープラスミドを作成し、トリプトファン代謝鍵酵素のレポーターアッセイ系を確立する。 引き続き、ミクログリア細胞の培養液にLPSとある種のファイトケミカルを添加し、トリプトファン代謝鍵酵素の発現を制御する成分を決定し、化学構造との機能相関を明らかにし、メカニズムを解明する。動物実験も引き続き行う。
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