2018 Fiscal Year Annual Research Report
A new efficient method for antioxidant activity evaluation based on the time-resolved optical measurement in near-infrared region
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26450160
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小原 敬士 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (10284390)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食品機能 / 抗酸化 / 一重項酸素 / 近赤外光 / 時間分解計測 / 微量試料 / スポット / キャピラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、近赤外分光と時間分解計測を基盤として、食品・飲料・工業製品など広範囲なターゲットに適用できる高精度かつ高速の抗酸化活性評価手法の開発を遂行してきた。2017年度までに、20 uLの極微量試料を内径1 mm のキャピラリーに注入して近赤外発光寿命を計測し、抗酸化剤の一重項酸素消去速度定数を精確に決定する技術を確立した。一方、近赤外近傍に吸収・蛍光を持つ高感度フリーラジカル検出プローブの開発が難航し、満足な成果が得られていないため、当初研究計画を1年間延長し、2018年度に分子プローブ合成に注力した。 2017年度に設計し合成を開始したアントラセン置換基に一重項酸素が付加することで蛍光が回復するタイプのプローブ分子を合成した。試行錯誤の結果、水溶性を付加する前の前駆体を十分な収量で得られる合成ルートを確立し、100 mgの生成物を得ることができた。この前駆体プローブは、類似構造を持つモデル蛍光分子に対して、蛍光量子収量がエタノール中で1/10以下となり、分子内電子移動による蛍光消光機構を持つ活性酸素プローブとしての設計性能を有していた。一方で、溶媒極性により蛍光量子収量が大きく変化することから、プローブとして使用可能な溶媒が限定されることもわかった。一方、一重項酸素付加の試験においては、必要とする反応効率が得られず、アントラセン置換基周辺の立体障害の制御が分子設計に必要であることが示唆された。この前駆体をスルホン酸ナトリウム化することで高い水溶性を付加したプローブ化合物を得ることができた。この水溶性プローブは、精製が困難ではあるが、予備検討の結果、前駆体が有機溶媒中で示す光物性挙動と同様の性質を水中で示し、水系溶媒で使用可能と考えられる。以上の結果から、本課題の目標に到達できたとは言えないものの、十分な成果が得られたものと考えている。
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Research Products
(2 results)