2015 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー消費を促す「褐色脂肪細胞化」を誘導する食品因子とその作用機序の解明
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26450168
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
津田 孝範 中部大学, 応用生物学部, 教授 (90281568)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肥満 / 食品由来因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、新たな抗肥満戦略として白色脂肪組織中に「誘導型」の褐色脂肪細胞を増やす食品由来因子を明らかにすることである。哺乳動物の脂肪組織において「褐色脂肪組織」は脂肪を消費して体熱産生を行い、体温維持を担う。従って「褐色脂肪組織」の増大は、エネルギー消費を促進する。最近、褐色脂肪組織は、成人にもあり加齢により低下し、肥満と相関すること、従来からある「既存型」とは細胞起源の異なる脂肪前駆細胞から分化転換する「誘導型」が白色脂肪組織中に多数出現し、熱産生によりエネルギー消費が継続的に増加して体脂肪が減少することも明らかになっている。このような背景を踏まえて26年度の研究では、褐色脂肪細胞化のモデルとして利用されるC3H10T1/2細胞とマウス白色脂肪組織由来の初代培養細胞を用いて、種々の食品由来因子の検討を行った結果、化合物Aに著しい褐色脂肪細胞化を見出した。この結果を踏まえて27年度は、この化合物の褐色脂肪細胞化誘導のメカニズムを細胞レベルで解明することを目標とした。その結果、化合物Aは、核内受容体であるPPARgammaのアゴニストとして作用するが、逆にPPARgammaのアンタゴニスト存在下では、褐色脂肪細胞化を誘導しなかった。褐色脂肪細胞化に必須のタンパク質であるPRDM16は化合物Aの投与により誘導されるが、PPARgammaのアンタゴニスト存在下では、その誘導は抑制された。さらに化合物Aの投与により、PRDM16タンパク質の分解が抑制された。以上の結果から、化合物Aの褐色脂肪細胞化誘導のメカニズムはPPARgammaのアゴニストとして作用し、PRDM16タンパク質の分解が抑制されることによると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度の目的である褐色脂肪細胞誘導作用を持つ食品因子のメカニズムを明らかにしているので、順調な進展と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進展しているので、最終年度に向けての課題解決に全力をあげる。
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Causes of Carryover |
平成27年度の実験が効率よく進み、消耗品の値引きがあったことから、消耗品の支出が予定より少額となった。さらに平成27年度に予定していた研究補助員の雇用が困難となり、繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は27年度の予算と合わせて研究補助員を雇用する予定にした。さらに物品費として28年度に予定している動物実験のための関連物品、試薬類購入費用にあてる。 研究補助員雇用費:1,300,000円、その他を物品費(試薬類、実験動物購入等)に充てる(27年度残額の821,993円を含む)。
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