2015 Fiscal Year Research-status Report
免疫バランス改善に有効な熱量・脂肪酸組成・PFC比を考慮した次世代型日本食の確立
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26450170
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石川 祐子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門食品健康機能研究領域, ユニット長 (40353940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若木 学 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門食品健康機能研究領域, 研究員 (50710878)
後藤 真生 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門食品健康機能研究領域, 上級研究員 (30302590)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アレルギー発症 / 脂質・摂取熱量 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵白アルブミン(OVA)に特異的なT細胞を発現するトランスジェニックマウス(DO11.10)を用い、高脂肪(60 %kcalラード)食と高ショ糖(70 %kcal)、及びこれらのコントロールである(7 %kcalショ糖)食を離乳直後から長期投与する、あるいは成熟後に短期投与するなどの系を作成し、それぞれ脾臓細胞の抗原特異的な応答性、あるいは皮膚アナフィラキシー反応によるアレルギー性炎症応答、ならびに肥満等に関与する慢性炎症の状態を調べるために腹腔内マクロファージの炎症性マーカー等を検討した。 本マウス系統は、他系統に比べ、餌の違いによる体重増加や外見的な肥満は顕著には認められなかった。しかし、高脂肪食、高ショ糖食を摂取させることにより、抗原特異的なサイトカインあるいは抗体の産生量、脾臓細胞の増殖活性など免疫応答性に影響を与えることが確認された。特に高脂肪食は、短期の投与でも免疫応答性を変化させることが認められており、長期的な摂取の影響として認められた変化が比較的早い時期に生じたものが継続されるものであるのか、あるいは長期摂取によりさらなる変化が起こっているのかを確認する必要があると考えられた。 本年度の研究成果により、免疫応答性に与える影響は、摂取カロリー値よりも、摂取カロリー源の方が大きいことが示唆され、また免疫応答性の変化は、外見的な肥満状態とは必ずしも関連してはいなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験で用いるマウスDO11.10は、購入することが難しいことから、自家繁殖を行っている。老齢マウスを用いるために、初年度から準備を進めていたが、免疫系を操作されていることもあり、SPF環境下での飼育でも死亡率が一般のマウスに比べて高く、実験に使用可能な数の老齢マウスをそろえるのが難しい。そのため、幼若期、もしくは成熟期以降のマウスに比べて、老齢マウスでの実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までに得られた高脂肪食による免疫応答性の変動が、免疫担当細胞のうちのどのような細胞群に対する影響によってもたらされたものなのかを明らかにするため、細胞群を磁気ビーズ等を用いて分離し、確認する。また、被験食の短期投与と長期投与、若齢と老齢マウスによる応答性の差をより詳細に解析する。 さらに研究計画に挙げたPFC比の違いが免疫応答性に与える影響を検討するために、PFC比の異なる餌を調整し、それらを投与することで免疫応答性に違いが見られるかを確認する。
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Causes of Carryover |
本研究に使用するDO11.10マウスは、免疫系を操作していることから、SPF環境下での飼育でも死亡率が一般のマウスに比べて高く、実験に使用可能な数の老齢マウスをそろえるのが難しかったため、老齢マウスの試験にかかる費用として予定されていた経費に大幅な残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額については、摂取熱量および熱量源だけでなく、PFC(タンパク質、脂質、糖質)比を変えた餌を特別注文により作成する。その内容としては、いわゆる日本型食餌として、1960年(昭和35年)、1980年(昭和55年)、2005年(平成17年)のPFC比を基準に作成したもの、並びに西洋型食餌を予定している。また、AIN-93Mをベースに、タンパク質にはカゼイン等に変えて大豆、脂質にはラードと魚油などの原料の違うものを検討する。 餌以外には免疫応答性を確認するためのELISAキット、細胞分離のための磁気ビーズ、抗体等を購入するために使用する。
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