2014 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質凝集ナノ粒子の食品機能性を凍結によって創製する研究
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26450177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 究也 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90433325)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / マイクロカプセル / 凍結濃縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当初の研究計画に基づき,1) pHの異なる環境下における物理化学特性の速度論的検討と構造形成との相関性,2) 小角X線散乱(SAXS)を利用したナノスケールの凝集構造の速度論的解析を実施した.カゼインナトリウムはpHに応じて分散と凝集の状態が変化するが,この変化の動力学に関する検討を実施した.今回,凝集に伴う物理化学特性の変化を,粒子径,密度,疎水度という観点で追跡した.当初の計画の通り,小角X線散乱(SAXS)による分析を放射光施設を利用して実施し,カゼイン凝集ナノ粒子の数十~数千ナノメール領域に至るナノ構造の解析を実施した(SPring-8を利用).ここから得た情報を基に,凝集に伴う構造形成の形態を推定するための解析を進めている段階に至っている.カゼインの凝集構造は数ナノメートルの構成要素が数百ナノメートルにわたる高次構造を形成したものである.そしてこの高次構造を有するクラスターがさらに凝集して一つの凝集微粒子を構成していることが解析の結果からもわかった.凝集体はフラクタル性を有する構造を維持したまま成長し,常温のバルク溶液内においては,数日間をかけてゆっくりとその凝集成長が進行した.また,凝集の進行に伴い,表面疎水度を減少させる様なコンフォメーション変化も伴うことなどが解明できている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に設定した当該年度の研究計画を,ほぼ計画通りに実施することができた.放射光施設の利用には競争的に利用の是非が決定される部分もあるが,本年度は2回に渡りビームラインの利用ができたために,想定以上に解析を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,当初の研究計画に基づいて研究を実施していく.大きな研究の方向性や計画の変更は現段階では考えていない.
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Causes of Carryover |
消耗物品の使用量が当初想定していたよりも少なかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度使用を予定している消耗物品の購入に充てる.
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