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2015 Fiscal Year Research-status Report

高品質加圧ゲル状食品の製造条件とその体系化

Research Project

Project/Area Number 26450179
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

井倉 則之  九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30260722)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords高静水圧 / ゲル / フレーバー / テクスチャー
Outline of Annual Research Achievements

高静水圧(加圧)処理は、非加熱殺菌が可能なため熱に敏感な成分の保持が可能であるだけでなく、加圧処理により作製されたタンパク質ゲルは加熱処理により作製されたゲルとは異なる物性を有しており、新規食品の製造が期待される。本申請では、様々な処理条件において作製される加圧ゲルの品質について調査し、その体系化を図ることを目的としている。平成27年度は添加物として香気成分を添加したタンパク質の高圧下におけるゲル化挙動についてさらに詳細に調査を行った。
オクタナール等の香気成分添加によりオボアルブミン加圧ゲルの物性が変化したことから、示差走査熱量測定による変性の程度等を測定したが、物性の変化しない加熱ゲルと加圧ゲルとの間に大きな差は認められず、熱量変化と物性変化との相関は認められなかった。そこで、得られたゲルの表面疎水性を測定したところ、香気成分を添加した加圧ゲルにおいて有意な表面疎水性の増加が認められた。また、得られたゲルをSDS-PAGEならびにNative-PAGE(非還元処理)に供したところ、香気成分を添加した加圧ゲルでは分子間ジスルフィド(S-S)結合による多量体化が確認された。オボアルブミンはその分子内にSH基を4個有していることから、これらが分子間結合していることが示された。実際に、SH基をマスクし、同様の処理を行ったところ、香気成分添加による加圧ゲルの物性変化が生じなかった。
以上のことから、香気成分は高静水圧下において分子内のSH基同士の距離を接近させることにより、S-S結合の生成に寄与し、結果として加圧ゲルと加熱ゲルとの硬さの違いを生じさせたと考えられた。しかし、この硬さの程度は加える香気成分の種類によって異なっていた。単純にS-S結合の数のみでこの変化が生じているのか、あるいは他の影響もあるのか今後検討を行う必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は添加物、特に香気成分の添加の影響について詳細な結果を得ることが出来た。特にある種の香気成分を添加することで加熱ゲルでは生じていない分子間S-S結合の増加が加圧ゲルにおいて生じていたこと、硬さの増加はこれに起因していたと考えられた。平成26年度に引き続き、香気成分のどのような官能基、構造、性質がこのような加圧処理による物性変化に寄与しているのか検討中である。増粘剤等とは異なる機構により物性変化が起こるため、添加する物質によって得られるゲルにも多様なテクスチャーを与えることが可能となると考えられる。添加物の構造や性質によるタンパク質ゲルの物性変化について得られた知見を現在まとめている段階である。
また、このようにして得られたタンパク質ゲルからのフレーバーリリースについても現在データを収集している段階である。平成27年度は以上のように、平成26年度に得られたデータを基に、より詳細な機構について検討を加えて、さらに多くのデータの蓄積を得られたことより、ほぼ予定通りの結果が得られたと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度は平成27年度に引き続き、ゲルの物性やフレーバーリリースなどの品質に及ぼす各種因子の影響を検討しつつ、これまでに得られたデータについて総合的な解釈を行う予定である。データ収集に関しては平成26年度、27年度に得た幾つかのデータについて再実験を行うと共に、香気成分、糖質、脂質について、これまでに得られたデータを基に構造の類似したあるいは異なる添加物を増やす予定である。また、加圧処理を行う前のゾル状態の物性、特に粘度等も得られるゲル物性に影響を与えると考えられるため、ゾルとゲルの物性の相関についても検討を行う予定である。以上の検討項目について得られた加圧ゲルの物性変化ならびにフレーバーリリースに及ぼす添加物の影響を、その構造的あるいは化学的・物理的特性によって分類・多変量解析を行い、その体系化を試みる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 香気成分の鎖長および官能基がオボアルブミン加圧ゲルのテクスチャーに及ぼす影響2015

    • Author(s)
      稲葉裕貴、井倉則之、下田満哉
    • Organizer
      平成27年度日本栄養・食糧学会九州・沖縄支部および日本食品科学工学会西日本支部合同大会
    • Place of Presentation
      沖縄県那覇市
    • Year and Date
      2015-10-30 – 2015-10-31
  • [Presentation] 香気成分およびエマルションがオボアルブミン加圧ゲルのテクスチャーに及ぼす影響2015

    • Author(s)
      石井智大、稲葉裕貴、井倉則之、下田満哉
    • Organizer
      第33回九州分析化学若手の会夏季セミナー
    • Place of Presentation
      熊本県上天草市
    • Year and Date
      2015-07-24 – 2015-07-25

URL: 

Published: 2017-01-06  

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