2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450181
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
橋爪 克己 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (30372189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 俊彦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (50336442)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 清酒 / フェルラ酸 / フェルラ酸エチル / エチルエステル化ペプチド / 疎水性呈味成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.清酒もろみにおいてフェルラ酸/フェルラ酸エチルの生成比率に及ぼす要因について、原料米から調製したフェルロイルオリゴ糖を用い麹酵素による反応を検討し、①フェルロイルオリゴ糖がフェルラ酸アルキルエステルよりもフェルロイルエステラーゼの良好な基質であることを、②反応液中のエチルアルコール濃度がフェルラ酸/フェルラ酸エチル比率に決定的な影響を及ぼすこと、などを明らかにし、これらの成果を原著論文により発表した。続いて、清酒醪においてフェルロイルオリゴ糖生成を律速する酵素反応を解析するため、新たに酵素活性測定法を定め、関係する酵素の解析に着手した。 また、上記検討の過程で、清酒醸造過程で麹菌が遊離するフェルラ酸の一部は麹中の細菌によってバニリン酸に変換され、バニリン酸からグアイアコールが生成することを見出した。これについて関連する学会で報告し、また初期の検討結果を原著論文により発表した。
2.清酒のエチルエステル化ペプチドについてはペプチド標品合成中間体を購入し、エチルエステル化反応を行うことによって検討に必要な標品を調製することができた。この標品を用い、ペプチドのエチルエステル化が単純な化学反応によるのではなく、清酒もろみのような高濃度エチルアルコールが存在する条件下では麹の酵素によって生成することを示すデータを得た。さらに、官能評価に使用可能な高度に精製したエチルエステル化ペプチド標品を調製し、活性炭素未処理清酒中に存在するエチルエステル化ペプチドレベルよりもはるかに低い濃度で人が官能的に認知できることを示唆するデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.生成27年度に計画していたフェルラ酸/フェルラ酸エチルの生成比率に影響を及ぼす要因の検討については予定通り検討を終え、原著論文発表を行った。
2.清酒醸造過程においてフェルラ酸およびフェルラ酸エチルの生成に深く関与するフェルロイルオリゴ糖生成酵素の研究に着手することができた。また、得られた知見を活用するための清酒小仕込予備試験を行うことができた。
3.エチルエステル化ペプチドに関する検討は、中間体を購入して標品の合成を行い検討に必要な量を調製し、次年度に向けて必要な予備的な試験を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.清酒もろみにおいてフェルロイルオリゴ糖生成を律速する麹酵素を解明する。また、これまでに得た知見を活用する清酒の小仕込み試験を行う。
2.エチルエステル化ペプチドに関しては、予備的試験結果を踏まえ、本格的な検討を行い、結果をとりまとめて発表する。
3.本研究課題を進行する過程で得た知見を含めて取りまとめ発表する。
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Causes of Carryover |
ペプチド標品の調製に当たって、中間体を購入したため、予定額を下回る支出で標品の調達を行うことができたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
エチルエステル化ペプチドに関する検討ををより詳細に行うことに振り向ける。
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Research Products
(4 results)