2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450183
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
湯口 宜明 大阪電気通信大学, 工学部, 准教授 (00358300)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 澱粉 / グリコーゲン / グルカンデンドリマー / 小角X線散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、澱粉(アミロース、アミロペクチン)及びグリコーゲンの溶液構造を多種の電磁波散乱法(光散乱、小角X線散乱、超小角X線散乱)を駆使することによって、これまでにない広い角度領域つまり広いスケールで鎖の局所構造から全体構造を明らかにする。さらに固体構造、溶液からゲル化する過程での構造形成ダイナミクスを、時分割X線散乱法などを用いて観察することで、澱粉の高次構造形成のメカニズムを明らかにして、糊化・老化現象の知見を得る。また得られた構造の基礎的知見を活用して、包接構造の観察、新規な構造をもつ酵素合成されたグルカン鎖の構造解析に適用すると同時に、これらの試料によって、天然澱粉の構造解析へのフィードバックを行うといものである。 当該年度では、酵素合成グリコーゲン(グルカンデンドリマー)について、さらに研究を進めた。これまで得られている小角X線散乱のデータについて、ギニエプロットによる慣性半径の評価、ハイパーブランチモデル、球体モデル関数を用いたフィッティングに加え、球体に対してサイズ分布を考慮したモデルを導入し解析することができた。これにより分子量の低いグルカンデンドリマーはハイパーブランチ構造に近く、分子量が大きくなるにつれて(サイズが大きくなるにつれて)球体としての性質が強くなることが分かった。 またブランチングエンザイムを用いた反応過程を追跡する実験も行った。ここでは基質のアミロースの分子量を変化させて測定することができた。結果として、基質の違いにより得られるグルカンデンドリマーのサイズに大きな差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種グルカンデンドリマー及びグルカンデンドリマーの形成過程に対して、予定していた小角X線散乱実験ならびにそれらの解析を進めることができたからである。さらに澱粉の各種溶媒添加によるラメラ構造の観察、示差走査熱量測定も実施することができた。また他の多糖類の溶液、ゲル構造も調べることができ、グリコーゲン、澱粉との比較検討ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
各種サイズの異なるグルカンデンドリマー、グルカンデンドリマーの形成過程についての小角X線散乱測定をほぼ完了し、現在解析を進めているところである。このほかの光散乱、ゲル浸透クロマトグラフィーなどの結果をまとめて、国際誌への投稿を計画している。またグリコーゲン、澱粉だけではなく、他の植物由来多糖類キシログルカンなどのゲル系についても調べて、比較検討していくことで、より詳細な考察をしていく。
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Causes of Carryover |
研究実験は順調に進んできたが、学会発表や論文投稿をより多くかつハイレベルにする必要がある。このため研究期間を延長し、成果発表の予算分を次年度送りにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
得られた成果をまとめて、国際学会への発表、論文投稿費用に使用する。
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Research Products
(8 results)