2014 Fiscal Year Research-status Report
天然林施業を組み入れた地域の森林管理オプションの提示
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26450187
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60312401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自然資源管理 / 非皆伐施業 / 天然更新 / 広葉樹 / 森林動態シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
天然林施業を組み入れた地域の森林管理オプションを提示する、という大きな目的にむけて、平成26年度は、天然生林が優占する北海道北部のモデル地域(北海道大学研究林を中心)を対象に、次のような成果を得た。まず、過去に実施された択伐施業地における長期データを分析し、主要な育成対象樹種および他の優占樹種の個体群動態パラメータを算出した(第9回国際森林研究機関連合「異齢林施業に関する国際会議」および日本森林学会大会で口頭発表するとともに、国際誌への投稿を準備中)。この研究で明らかとなった、樹種による伐採に対する反応の違いを、今後、シミュレーションモデルの構築に活用していく。また、択伐施業地において、森林の構造、とりわけ森林内の生物多様性の保全に重要と考えられる構造要素の量を調査した。その結果、施業は林分構造をある程度維持していた一方で、枯死木などいくつかの構造要素の変化を招いたことが示された(日本生態学会大会で口頭発表し、国際誌への投稿を準備中)。さらに、更新施業地の現況把握から、施業の成否を分ける要因の分析を開始した。ササ地の掻き起こし作業で成立したカンバ林においては、施工後初期の土壌条件が重要な因子となっている可能性が示唆された(上に挙げた3つの学会で口頭・ポスター発表し、国際誌への投稿を準備中)。広葉樹造林地や造林した針葉樹と天然更新した広葉樹の混交林などで得られたデータを組み合わせて、シミュレーションのサブモデルを構築し、立地による施業の適否について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域の森林管理オプションを提示するうえで、最終的に重要な役割を果たす森林動態シミュレーションについて、必要となる動態パラメータの算出を進め、また、更新補助作業の影響を考慮したサブモデルを構築することができた。過去施工地の現況把握、および長期データの分析についても予定通り進捗している。また、施業が行なわれた森林における生態系の諸機能に関する分析も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も「研究実施計画」に基いて研究を推進する。昨年度の成果について、論文化を進める。
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Causes of Carryover |
過去に森林施業が行われた箇所の現況を把握するために空中写真・衛星画像の購入を予定していたが、平成26年度に調査対象とした箇所については、既存のデータで箇所等を特定することができたため購入の必要が生じなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度はより広い地域を対象とするため、空中写真・衛星画像の購入に充てることを予定している。
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