2016 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of eco-physiological trait for trees in a degraded forest needed to be regenerated naturally
Project/Area Number |
26450191
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
木佐貫 博光 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (00251421)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 樹液流速 / トウヒ / 衰退林 / 水分生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
紀伊半島の大台ケ原において,トウヒやウラジロモミなどの針葉樹の樹皮は,過剰なニホンジカによって摂食されやすい.このため,樹幹剥皮が原因で高木の枯死が増えることで,森林の衰退が著しい.被害の著しい場所では,森林がミヤコザサの草原と化した所もみられる.さらに,シカによる採食は後継樹にも及び,森林の再生が非常に困難な状況になっている.森林の衰退は,森林が有するさまざまな機能に大きな負の影響を及ぼす恐れがあるため,衰退した森林を早急に再生させる必要がある.このような森林をより自然に近い状態にまで再生させるためには,林冠層構成樹種を用いた自然再生が必要である.一方,鹿を排除するための防鹿柵によって,樹幹剥皮は回避できたものの,林床を高さ約80㎝のミヤコザサが覆ってしまった.このため,ササによる被陰のため,樹木の実生の死亡率が高くなった.それだけではなく,ササによる水消費量の増加が,生残した成木の水利用にとって負の影響を与えることが懸念される.さらに,柵内の生残木には,かつて受けた剥皮の痕跡が残っているものが多く,通水のうえで支障をきたしている可能性がある.そこで,防鹿柵内に生育するトウヒ成木20個体を対象に,グラニエ法による樹液流量の計測を行い,樹木の通水状況の把握を試みた.1個体当たり3つのセンサーを設置し,30秒間隔で測定した.2016年7月から同年11月まで測定を試みたが,天候不順から太陽光パネルによる電源の電圧不足,データロガーの不調が重なり,20個体について測定できたのは,8月の4日間のみに留まった.樹液流速の日変化と個体差に影響を及ぼす因子を検討した結果,樹液流速は,樹高と剥皮率による負の影響を受けることが示唆された.
|