2015 Fiscal Year Research-status Report
持続的森林資源管理のための森林域でのGNSS技術の応用に関する研究
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26450195
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 尚史 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (70263134)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | GNSS / 樹冠下 / 信号 / 捕捉衛星数 / Float解 / Fix解 / SIP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はGNSS(日本のQZSS,米国のGPS,ロシアのGLONASS,EUのGalileo,中国のBeiDouなど)技術を活用し,森林内におけるGNSS信号の分断状況から林分蓄積や立木密度などの林分情報を推定する技術を確立するとともに,持続的森林管理のための森林資源情報の取得のために実用化しようとするものである。 本年度は本研究におけるメインの試験として,京都大学フィールド科学教育研究センター和歌山研究林において,ヘリコプターLiDARデータの取得と同時にGNSS受信試験を行った。LiDAR取得時期は,秋期の紅葉開始時期とし,同時に取得されるオルソフォトによる林相判別が行いやすい時期として準備を行った。また前年度に購入したGNSS受信機を用いた受信および基線解析テストを行った。さらに和歌山研究林内8地点にGNSS測位地点を設定した。林況は土場,尾根上平地スギ疎林分,尾根上平地スギ密林分,谷筋大径スギ林分,モミ・ツガ天然林,谷筋林道,北向き斜面スギ疎林分,北向き斜面スギ密林分であった。 受信試験はLiDAR計測が実施される見込みとなった10月末に9日間実施した。林内8地点で90分の測位(1Hz)を4回ずつ行い,GPSのみの場合、GLONASS を加えた場合,Galileoを除くすべての衛星を使用した場合の3通りについて,受信衛星数およびPDOPの推移と,観測時間を変化させた場合の静止測位時の測位精度を検討した。斜面や谷沿いなどGPSでは十分な衛星数が得られない場所において,ほぼ常に5個以上の衛星が捕捉でき,またFloat解の精度およびFix解の取得確率も大幅に向上していることが明らかとなった。 これらの結果は,森林利用学会(於:鹿児島大学)および日本森林学会(於:日本大学)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度はGNSS受信機の購入が遅れたため,やや研究が遅れていたが,本年度は精力的に受信試験および解析を行い,ほぼ想定通りの結果を得たことによって,遅れを取り戻した。ただし解析ソフトウェアのバグによって遅れている解析箇所もあり,今後,より一層の解析の進展,特にLiDARデータとGNSS受信試験結果との照合を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,LiDARデータの解析を進めるとともに,GNSS受信試験結果とLiDARデータとの照合を進める。ただし,LiDARデータの取得時期が,業者側の機材準備等の理由により,GNSS受信試験から約1ヶ月遅れたため,GNSS受信試験の際には着葉していた落葉樹が,LIDAR計測では落葉してしまった観測地点が生じた。本研究の目的である,GNSS衛星信号の分断からの林況推定には,致命的となる可能性があり,今後,地点ごとの状況に合わせ,慎重に分析を進める予定である。
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