2015 Fiscal Year Research-status Report
ストイキオメトリーを用いた森林生態系の窒素飽和の評価
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26450198
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
智和 正明 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30380554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 篤 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20325492)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 窒素飽和 / リン制限 / ストイキオメトリー / 蛇紋岩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,渓流水中の硝酸塩濃度が高い流域で樹木が窒素飽和に伴うリン制限になっているかどうかを明らかにすることを目的として,1) 渓流水中の硝酸塩濃度が高いサイト(福岡新谷),2)リン制限のサイト(福岡御手洗水),3)窒素制限のサイト(椎葉大藪)において,ヒノキ葉のストイキオメトリー(窒素:リン比,N:P比)を比較した.昨年度,蛇紋岩流域(御手洗水)において,リン制限が起こっていることが明らかになったため,本年度は,このサイトをリン制限のサイトとして位置づけてサイト間比較を行った.各サイトのヒノキの樹齢は57-58年生である.各サイトにおいて8月初旬に20サンプル程度の枝葉の採取を行った.採取した枝葉は,葉齢に伴うN:P比の変化を解析するために,枝葉の端から0-5 cm,5-10 cm,10 cm以上の3段階に分けてN,P濃度の分析を行った.その結果,渓流水中の硝酸塩濃度が高いサイト(福岡新谷)のヒノキ葉のN:P比はどの葉齢についても,リン制限のサイト(御手洗水)と比べて有意に低く,窒素制限のサイト(椎葉大藪)とほぼ同程度だった.このことは渓流水中の硝酸塩濃度が高くても樹木は必ずしもリン制限になっていないことを示していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の試料分析を除いて,おおむね当初の計画通りに試料の採取と分析が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
樹木の栄養吸収や転流の影響を検討するために,リターや土壌の採取を行いたい.
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Causes of Carryover |
分析を予定していた機器に不具合が生じ,次年度に分析を行う必要が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定していた試料の分析を行う.
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