2017 Fiscal Year Research-status Report
土壌ブロック交換法による土壌動物群集の種組成決定要因の解明
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26450207
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
長谷川 元洋 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70343811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 貴美子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20353625)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 土壌ブロック / トビムシ / ダニ / 土壌動物 / 群集構造 / 決定要因 / 操作実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林の生物多様性の決定要因を把握することにより、より生物多様性の豊かな森林へと導く施業のための情報を得ることができる。生物多様性の決定要因を探索する上で,分解者の知見は不足している。これまで、トビムシ、ササラダニ群集の住み場所の選好性は、土壌由来の要因か地上部環境の要因かを区別できなかった。この研究では、針葉樹人工林と広葉樹林の落葉層および土壌層を土壌ブロックとして採取し、それを互いの森林間で入れ替える手法でその検討を行っている。このうち、昨年から開始した、高知県大豊町の仁尾ヶ内山国有林内のヒノキ人工林と落葉広葉樹林が隣接する林分における実験で採集した、設置後1週間および、1ヶ月の土壌ブロックのトビムシの同定、群集構造の解析を行った。その結果、個体数及び種数は、ヒノキ林で多くなり、場所の効果は認められた。一方、土壌の効果は実験の初期にのみ、有意であった。種組成においても同様の結果を示し、そもそも広葉樹林を好む種は非常に少なかった。 上記の結果は、ヒノキ林の環境条件(有機物層含水率、有機物層量が大、pH低)が、多くのトビムシの種にとって好適であったことに起因すると考えられた。場所の効果に比して、土壌の違いがあまり反映されない事から、土壌以外の環境要因(微気象)などの重要性が示唆された。一方、大型種の中に広葉樹林を好む種がいる事が示された。これは、ヒノキ葉の大きさ、構造により生じた緻密な有機物層には、大型種は入り込みにくい事に起因するのでは無いかと考えられた。上記の結果は、前年までのスギ林と広葉樹林の組み合わせの場合と類似した結果だが、針葉樹の選好がより鮮明な結果となった。この要因として、広葉樹林の落葉層がより薄く厳しい条件であった、ヒノキ林との組み合わせで使用した広葉樹林の面積が小さかった、同調査地周辺の現在の広葉樹林では、ヒノキが自然に混じって存在していた、等が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り順調に実験が進行し、採取予定のサンプルも予定通り採取できた。また、既に実施されたスギ林での成果も論文として公表された。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒノキ人工林と落葉広葉樹林での実験におけるトビムシの同定を進めると共に、ダニ群集の結果をまとめて、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
本年度の調査が予定より順調に進行したため予定より、少なめの旅費で課題を遂行することができた。一方、採集標本を大まかな分類群によって分けた結果、次年度同定予定のダニ類について、非常に個体数が多いことがわかった。そのため、次年度、同定に要するスライドグラス、薬品等を予定より多く購入することに、当該残額を使用することとする。
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