2016 Fiscal Year Annual Research Report
Spatial analysis of regional scale soil functions using soil inventory data of forest lands in Japan
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26450210
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
今矢 明宏 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 林業領域, 主任研究員 (60353596)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 広域評価 / 土壌情報 / 土壌化学性 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林の持つバイオマス生産や炭素貯留、水源涵養、水質形成あるいは酸緩衝能等の機能評価には基盤となる土壌情報が重要となる。土壌情報は、これまで土壌タイプという不連続なカテゴリカルデータであったが、連続した数量的化学データとして地球統計学的手法により地理的空間情報に整備することで、斜面から流域-地域-全国のあらゆるスケールにおいて温暖化や越境大気汚染など環境変動・環境負荷への森林生態系応答解析の高度化や、シミュレーションモデルにおけるプール・初期値の精度向上が期待でき、森林機能の高度な発揮に向けた森林管理技術の開発に寄与する。 日本全土の森林域を対象とした土壌調査・分析データを用い、土壌の生成的特徴と地形要因との関係を明らかにし、標高や傾斜等のメッシュ情報を用いたアンドソルの分布域の推定を試みた。実測地点の分析値により判別した各地点でのアンドソルの出現に対して、地形および気象データを用いてパーティション分析を行いアンドソル出現確率の決定木を作成した。決定木における各パラメータの寄与率から、アンドソルの出現には標高、緯度、傾斜、経度の寄与が大きく、気象・気候要因の寄与が小さいことが示された。この結果を3次メッシュデータに適用しアンドソルの分布を推定した。この手法では、アンドソル出現確率が50%以上となる3次メッシュは森林域の27%であり、既往の火山性土壌の分布割合に近似した結果が得られた。 使用した土壌情報は全国を網羅しているものの地点数が限定されているため、空間統計を用いた解析には十分ではない。そのため本研究で用いた手法は広域での評価は可能であるものの、大縮尺図での詳細な土壌機能の評価等への適用には注意が必要である。森林域における既存土壌図のデジタル化が進めば、これを活用した解析が可能となり、詳細な機能評価手法の開発につなげられる。
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