2014 Fiscal Year Research-status Report
間伐が森林からの懸濁物質及び放射性物質の流出に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
26450214
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
篠宮 佳樹 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, グループ長 (20353716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 政広 独立行政法人森林総合研究所, 企画部, チーム長 (50353686)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 間伐 / 放射性セシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、間伐に伴う懸濁物質(SS)や放射性物質の流出の実態を解明することを目的とする。今年度は平成24年秋に行われた列状間伐が間伐中のSSの動態に及ぼす影響について検討した。茨城県内のスギ人工林・落葉樹林から成る森林で、流域の約1/5の面積を対象に本数で33%の間伐率の列状間伐が実施され、5つの谷沿いに作業道が作設された。SS濃度はガラス繊維フィルター(0.5μm)により測定された。間伐前のSS濃度と流量の関係について、基本的に流量が大きいほどSS濃度は上昇する関係が見られた。流量が小さい場合についても比較的高いSS濃度が観察された場合があった。これは降雨の初期段階のもので、一時的な強雨やフラッシングの可能性が考えられた。間伐前(2010年7月~2012年8月)と間伐中(2012年9~11月)とでSS濃度と流量の関係を比較した。同じ流量範囲で比べると、SS濃度は間伐前より間伐中のほうが高く、間伐中のSS濃度の最大値は間伐前の約4倍であった。今回、流域面積の約1/5の列状間伐であっても、間伐中のSS濃度の上昇が認められた。平成25年に作設された作業道上の被覆度(当初は平均26%)は約1年後には平均68%に達した。下層植生が繁茂し、90%を超えた箇所も出現した。作業道路面の被覆度は速やかな回復傾向が示され、間伐後のSS流出が減少する可能性が示唆された。 渓流水を通じた放射性セシウム流出はSSとともに流出する。間伐に伴う渓流水を通じた放射性セシウムの動態は未解明であり、間伐施業に伴う放射性セシウムの流出についてSSとともに明らかにする予定である。森林から流出する放射性セシウム動態を明らかにすることは放射性セシウムが下流域住民の健康影響や河川・海洋の生態系に及ぼす影響を明らかにするためにも重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験流域での定期採水、出水時の渓流水の採水、浮遊土砂の採集、雨量および流量の観測、作業道の地表被覆度、SS濃度の測定など、平成26年度に予定した作業を概ね終了したため
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Strategy for Future Research Activity |
間伐実施後の経年変化に着目しつつ、前年度同様の観測を継続する。
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Causes of Carryover |
想定した消耗品交換の必要性が生じなかったこと、研究発表の取りやめなどにより当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者から試験流域の流量観測について移管を打診されたため、観測に必要な物品を購入する予定である。
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