2015 Fiscal Year Research-status Report
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26450242
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
大平 辰朗 国立研究開発法人 森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 室長 (40353619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 直之 国立研究開発法人 森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 主任研究員 (80353853)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テルペン / 乾燥廃液 / スギ / 二酸化窒素除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
乾燥廃液の効率的な分離・精製法としては減圧蒸留、カラム分離の各条件を見出した。また、二酸化窒素除去活性が高い画分はセスキテルペン炭化水素類及びジテルペン炭化水素類であり、除去活性はいずれも80%を超えていた。廃液全体に占める各炭化水素類の割合はセスキテルペン類(19%)、ジテルペン類(12%)であり、合計しても30%程度にすぎなかった。見出された物質はジテルペン類ではabietadiene, abietatriene, pimaradiene, sclarene, sandaracopimaradiene等であり、セスキテルペン類ではcadina-1(10),4-diene, α-cubebene, α-amorphene, cis-muurola-4(15),5-diene等であり、これらの化学的な特徴としてはいずれも分子内に二重結合を2つ以上有することであった。環境汚染物質は酸化を促進するため、浄化剤においては酸化を抑制させる効果が必要である。そこで乾燥廃液の酸化抑制効果を調べるためにガルビノキシラジカル捕捉能を調べた。その結果、廃液には高いラジカル捕捉能が認められ、さらに活性物質を検索したところ、活性の高い画分はジテルペンアルコール類及びセスキテルペンアルコール類であり、特にジテルペンアルコール類の活性が高いことが判明した。また廃液全体に占める各アルコール類の割合はセスキテルペン類(10%)、ジテルペン類(55%)であり、ジテルペン類の割合が多いことがわかった。さらにラジカル捕捉活性画分より見出された主要な物質はセスキテルペン類ではcubenol. Cryptomerione, gleenol等、ジテルペン類ではferruginolの他, sandaracopimarinol等であった。これらのことから二酸化窒素除去活性を活かした除去剤において、共存する酸化抑制物質の効果により、除去剤の耐久性の向上化が図られる可能性が見出された。これらの成果は、未利用バイオマス資源である乾燥廃液を空気浄化資材として利用可能であることを示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二酸化窒素除去活性物質に加えて酸化抑制活性物質も複数特定できており、計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
乾燥廃液から見出した複数の二酸化窒素除去活性物質の内、高い活性を示すAbietadiene, Abietatrieneは乾燥処理前のスギ材中にはほとんど含まれていないことを確認しており、処理工程中に新たに生成してきた物質である。今後はそれらの生成機構について解明を進める予定である。
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Causes of Carryover |
活性物質が複数見出されたことからそれらの化学構造解析を優先するため当初予定を変更し、次年度に生成機構の解明を行うこととしたため、予算使用計画が変更になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生成機構の解明を行うために、乾燥工程をシミュレート可能な機器類、測定用の消耗品を購入する。
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