2016 Fiscal Year Annual Research Report
Behavioral study on group dynamics of squid
Project/Area Number |
26450266
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池田 譲 琉球大学, 理学部, 教授 (30342744)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イカ類 / グループ・ダイナミックス / 社会 / 行動 / 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は研究項目「グループ・ダイナミックスの種間変異」について、琉球列島に分布する他種の熱帯性イカ類が、系統類縁関係と関連してグループ・ダイナミックスにどのような変異を示すのかアオリイカに比べて社会性レベルが低いコウイカ科のトラフコウイカを対象に次のような研究を実施した。 初めに、トラフコウイカ(以下コウイカ)を孵化飼育し、幼体・亜成体を集団と単独の2つの条件下に置いた。次に、これらについて、脅威対象(外敵の魚類)に対する防衛場面と、攻撃対象(餌生物)に対する攻撃場面を設定し、それぞれの実験群のコウイカの行動を観察し、映像記録した。そして、防衛場面では、脅威対象にコウイカが定位するまでの時間、脅威対象への定位角度を計測した。また、攻撃場面では、攻撃対象にコウイカが定位するまでの時間、捕獲数を計測した。さらに、これら2場面で、コウイカが表出したボディーパターンの種類と表出時間を記録した。 その結果、脅威対象を提示すると、集団、単独のコウイカはいずれの日齢においても脅威対象に気づき、注視した。ただし、集団のコウイカの方が脅威対象に早く定位した。一方、攻撃対象を導入すると、いずれの日齢においても、集団のコウイカの方が単独に比べてより多くを捕獲した。また、餌生物に対する個体の角度は、集団のコウイカの方が単独より大きく、個々体は様々な方向を向いていた。一方、単独のコウイカは警告、隠蔽に関わるボディーパターンを集団よりも多く表出した。このように、コウイカの群れにおいて特有のグループ・ダイナミックスが働いている様子が示された。 ツツイカ目に比べてコウイカ目の種は社会性レベルが低いとされてきたが、トラフコウイカのようにコウイカ目の種でも集団内の個体が相互作用し合うものがいることが明らかとなった。これは、イカ類の社会性の進化を考える上で新しい知見を提供するものと考えられる。
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Research Products
(5 results)