2014 Fiscal Year Research-status Report
純系養殖品種作出のための簡易な卵割阻止法の開発 -微小管の再生メカニズムの解明-
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26450270
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
小林 徹 近畿大学, 農学部, 教授 (00298944)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 染色体操作 / 卵割阻止 / 倍数性 / 星状体 / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵割阻止技術向上を目的に、高温処理(HST)を用いて、通常発生のホンモロコ受精卵の卵割阻止を試み、処理前後の卵内における分裂装置の動態と、発生した胚の倍数性とを調べた。培養温度は20.0℃、高温処理は41℃1分間とした。HSTのタイミング(媒精後25、30、35、40、45分)によって、発生率、孵化率は媒精後35分を頂点(69.8%, 52.7%)として緩やかに変化した。媒精後35分の分裂段階は前中期前半で、このときまでにHSTを施した場合は星状体が萎縮していた。生存した個体の倍数性は極めて多様であったが、孵化段階で29.6%の正常形態を示す四倍体が得られた。この結果より、紡錘体再生阻止のための2回目のHST開始候補時期は受精後30分に一度目のHSTを終了したのち5~10分後に行うのが適正ではないかと考えられた。マダイも同温度での発生速度は本種とほとんど同じであることがわかったので、同様のタイミングでの倍数化操作の有効性を実証したい。 一方、ニジマスでは、優良ホモクローン系統量産のため、積算水温35,40,45,50,55,60℃・hの6つの時期にそれぞれ高温処理(HST:30℃,5分間)を施した。高温二回処理を施した雌性発生卵の核分裂状況を検討したところ、35-45℃・hでの一回HSTにより星糸の発達は抑制され分裂段階は前期に戻った。前中期後半 (55℃・h)以降にHSTを施した場合では,星糸は萎縮せず星状体も消失しなかった。また,この時期ではHSTによって核の状態は不変であった。高温二回処理では二回目のHSTの直後,すべての卵は再び前期に戻った。一回処理で0.1%であった浮上率は、30分後および60分後に二回目HSTを施した場合に比較的高い値を示し、特に一回目の終了60分後に二回目HSTを施した場合に8.3%に向上した。これらのことから、高温二回処理の有効性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
温水性コイ科魚類の卵割阻止はホンモロコを材料に一定条件のめどが付いた。今後、キンギョも対象に加え、同様のことを確認するとともに、2回目の高温処理の適正タイミングや強度について検証を続ける。倍数化の対象として通常発生卵に加え、雌性発生卵も対象とすることで、複数回の高温処理による微小管再生阻止での倍数化効果をより明らかとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
卵割阻止の適正タイミングは前中期の前半であることは複数種を用いた実験から明らかであり、そのタイミングで処理をすると星状体は高い確率で萎縮した。温水性魚類ではその5~10分後には処理前の状態とほぼ同程度まで星状体の再生が起こることから、分裂装置再生を停止させるための2度目の阻止処理を施す適正時間や強度を検討する。特に、一回処理による倍数化効率に比較して、どれぐらいの向上が見られるかを検証したい。
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Research Products
(1 results)