2015 Fiscal Year Research-status Report
噛み合いによる減耗を低減する切歯低形成トラフグの作出基盤の開発
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26450273
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Research Institution | Japan Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
岡本 裕之 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (50372040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 篤志 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, その他 (30443352)
木下 政人 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60263125)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トラフグ / 切歯形成遺伝子 / 遺伝子編集 / 顕微注入 |
Outline of Annual Research Achievements |
顕微注入の機会を複数回得るために、三重県尾鷲栽培漁業センターから車で一時間離れた玉城庁舎までトラフグ未受精卵を輸送した後、人工授精により顕微注入が可能か調べた。その結果、未受精卵を水温17℃に維持すれば、採卵3-7時間後でも人工授精した後、一時間の顕微注入を実施した後でもふ化仔魚が得られることが明らかとなった。その受精後48時間においてメチレンブルー染色による判定で生残率は8-9割であった。一方、顕微注入した受精後2日または3日の卵を17.3-17.8℃に保って車で輸送したところ、輸送翌日のメチレンブルー染色による判定で生残率は9割、うちGFPポジ個体は51.6%(n=281)であった。これによって、遠隔地からの卵の提供についても、遺伝子編集試験に供することができることが明らかになった。さらに分泌性カルシウム結合性リンタンパク遺伝子群secretory calcium-binding phosphoprotein(SCPP)に属するSPARLCL1遺伝子に対して、広島大学山本教授から提供されたSPARCL1-TALEN-AおよびBペアをそれぞれ受精卵に顕微注入し、変異導入個体スクリーニングを行った。スクリーニングにはHMA解析を用い、およそ80尾のふ化仔魚に対して変異導入個体探索したが、変異体に特徴的なバンドシフトは見られず、変異導入個体と判断された個体はなかった。また、TALENより効率的に多くの遺伝子に同時にゲノム編集を行うことができるとされるクリスパーキャスによる遺伝子編集に必要なガイドRNAを9種の切歯形成遺伝子に対して、それぞれ設計・合成を行った。それらの内、同じ組織で発現する2-3種のガイドRNAを混合し、複数遺伝子の同時変異導入を試みたが、ふ化仔魚はいずれの場合も得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子編集技術が、所属機関内の規則で組み換え体と同等の取扱となったため、これまでのようにトラフグ卵を譲渡いただいた事業所等で顕微注入試験を行うことができなくなった。そのため、まずトラフグ未受精卵の保存と輸送の試験を行うことが必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
より多くのトラフグは年一回の採卵のため、顕微注入試験の機会が限られているため、調温による早期催熟を有効に活用して研究を推進する。
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Causes of Carryover |
変異体が見つかった時に、塩基配列解析を行う予定であったが、今年度は残念ながら変異体が得られなかったため、次年度に塩基配列解析費用を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子編集によって得られる変異体候補個体の塩基配列解析に使用する。
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Research Products
(1 results)