2015 Fiscal Year Research-status Report
クルマエビの生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の同定と機能解析
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26450294
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
大平 剛 神奈川大学, 理学部, 准教授 (10361809)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クルマエビ / 生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン / GnRH / 成熟 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、クルマエビの脳抽出物をナノフロー型の逆相HPLCを用いて分画した。そして、分画した産物をMALDI-TOFを用いてMS/MS解析することにより、クルマエビ生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)のアミノ酸配列は「pQRPHFSEGWFP-NH2」または「pQPRHFSEGWFP-NH2」と決定した。本年度は、クルマエビGnRHの局在を明らかにすることを目的として、クルマエビの脳、胸部神経節、卵巣を出発材料として、同様の解析を行った。その結果、クルマエビGnRHは脳および胸部神経節には存在した。一方、卵巣にはクルマエビGnRHは存在しなかった。アメリカザリガニGnRHは卵巣から精製されていることから、種によってGnRHの産生部位が異なると考えられた。今年度の解析では、新たなクルマエビGnRH様の分子(クルマエビGnRH2)が存在することが明らかとなった。クルマエビGnRH2のアミノ酸配列はpQAHFSRGWTYP-NH2であると考えられ、C末端側のアミノ酸配列がこれまでの既知GnRHとは異なっていた。 現在、クルマエビGnRHとクルマエビGnRH2のアミノ酸配列が正しいことを確認するために、次世代シークエンサーを用いたRNA-seq解析の準備をすすめている。天然の雌のクルマエビから卵巣と脳を摘出し、卵巣はDavidson液を用いて固定し、脳は凍結した。卵巣をパラフィンに包埋して、薄切し、ヘマトキシリン・エオシン染色に供した。卵巣の成熟ステージから判断して、RNA-seq解析にかけるクルマエビを選別した。2016年度の初旬にクルマエビ脳を用いてRNA-seq解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はクルマエビGnRHを化学合成し、それを用いてin vivoの投与実験とin vitroの生物検定を実施する予定であった。しかし、今年度はクルマエビGnRH以外の新たなGnRH様の分子(クルマエビGnRH2)が発見されたため、それら予定していた実験ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で明らかにしたクルマエビGnRHとクルマエビGnRH2を化学合成し、in vivoの投与実験とin vitroの生物検定を実施する。また、RNA干渉によるGnRHの合成抑制実験を実施する。
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Causes of Carryover |
残金は711円のみであり、ほぼ予定通り支出できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額は711円であることから、当初予定していた使用計画通り支出する。
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