2015 Fiscal Year Research-status Report
小麦主産地のグローバル化対応戦略―農地利用集積・品質向上・対実需者連携―
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26450301
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
横山 英信 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (70240223)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小麦 / グローバル化対応 / 農地利用集積 / 品質向上 / 対実需者連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
小麦産地のグローバル化対応戦略にも大きな影響を与えることになるTPP(環太平洋経済連携協定)交渉が,2015年10月5日に大筋合意に達したことを受けて,当初予定にはなかったが,本年度は大筋合意の内容の分析と,それが国内の小麦生産に及ぼす影響についての分析を行った。これは昨年度に行った近年の日本農政の動向分析とともに,今後の小麦産地の戦略を考察する際に欠かせない作業であり,今後の分析視点を深める上で有益であった。 これと併せて,本年度は小麦の主産地である香川県と愛知県で現地調査を行った。 香川県では香川県農業協同組合と製粉業者I社に対する聞き取り調査と資料収集,及び小麦圃場の視察を行った。同県では行政が積極的に関与する中で,主力品種「さぬきの夢2000」ならびに「さぬきの夢2009」の生産・供給体制の構築を軸として農協と製粉業者・うどん製造業者間の連携が図られ,小麦の地産地消が進められてきたこと。また,同県では小麦のほぼ全てが水田裏作麦であるため,水田の排水対策や米の作期との調整が小麦生産にとって重要な課題になっているが,これについて農協が積極的に対応していることもわかった。 愛知県では,愛知県経済農業協同組合連合会に対する聞き取り調査と資料収集,及び小麦生産圃場の視察を行った。同県ではこの間,小麦の主力品種が「イワイノダイチ」から「きぬあかり」へ急速に移行しているが,これは良食味・栽培管理の容易さ・多収という特徴から,対実需者・対生産者の点で「きぬあかり」に有利性があるためであり,その普及に農協系統も積極的に関与している。また,同県の小麦は転作麦が中心であるが,県内各地域における米→麦→大豆のローテーションの構築や小麦に関する農地利用集積(小麦作1経営体当たり約20ha)にも農協が積極的な役割を果たしていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた現地調査のうち九州北部については調査予定先の農協の都合と研究代表者の都合が合わずに断念せざるを得なかったが,その代わりに平成29年度に予定していた香川県の調査を前倒しで行うことができた。それゆえ,研究期間に予定している現地調査は着実に進んでいる。また,小麦産地の戦略に大きな影響を与える政策的・制度的枠組みであるTPP大筋合意についても分析を行い,その成果を論文にすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究実績を踏まえ,平成28年度は九州北部と北関東の,平成29年度は北海道の小麦主産地の現地調査を行う。そして,最終年度でもある平成29年度には,全国の製粉業者・小麦2次加工業者に対する聞き取り調査も行い,グローバル化に対応するための小麦主産地の戦略の基本方向についてまとめる。
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Research Products
(4 results)