2016 Fiscal Year Research-status Report
雇用型大規模法人経営における人材定着マネジメントに関する研究
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26450303
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
角田 毅 山形大学, 農学部, 教授 (60355261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 賢悦 秋田県農林水産部(農業試験場、果樹試験場、畜産試験場、水産振興センター及び林業研, 企画経営室, 主任研究員 (70611226)
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 離職要因 / 組織社会化 |
Outline of Annual Research Achievements |
雇用型大規模法人経営における人材定着マネジメントを解明することを目的に、本年度はこれまでの調査結果を踏まえ、まず農業法人の従業員の離職要因について詳細な検討を行った。採用段階では「農業に対するイメージと現実のギャップ」「異なるタイプの農業への興味・関心」等が、育成段階では「人事考課に対する不満」や「価値観・方針の相違」等の「組織的要因」が大きく影響していることを明らかにし、その改善のためには日常のコミュニケーションを通じた従業員との意思疎通、人事考課の評価方法や評価結果のフィードバック等が重要であることを示した。また従業員が組織に適応しながら組織の一員になっていく組織社会化の過程に着目し、PAC分析を用いて分析を行った。従業員は組織参入プロセスにおいて、農村社会の障壁、農業経営にある曖昧さや不安定さ、仕事量の繁閑、体力的な負荷等を感ずる「出来事」「ギャップ」からのリアリティショックにより、不安定な情緒が喚起して苦痛が生じるのを避ける「解離」や「自己疎隔感」を抱いていたが、組織側からの働きかけから地域集落における社会的関係の形成が促進されることにより、職場や集落において経験する「出来事」「ギャップ」を能動的に捉え徐々に組織適応を果たしていることを明らかにした。これまで見落とされがちであった農村・地域社会との社会的関係の形成が、組織への定着要因の一つとして重要であることを示した。また、従業員の定着に向けた課題を農業法人の収益分配の面から検討を行い、集落を越えた規模拡大、複合化・多角化などの経営成長方策が行われていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
雇用型大規模法人経営における人材定着マネジメントに影響を与える要因について、離職した従業員の離職要因分析や組織社会化プロセスの分析など多面的に検討を行い、重要な点を析出することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査研究で、雇用型大規模法人経営の人材定着要因について定性的な要因を析出することができたが、これを踏まえ「人材定着マネジメントの改善方向と課題」についてアンケートを実施し、定量的な分析を行っていく必要がある。
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Causes of Carryover |
当該研究では雇用型大規模農業法人における人材定着要因を解明することを目的に事例研究による要素抽出に取り組んだが、研究遂行過程で当初想定した事例以外の新たな重要事例が出てきたため、それらの調査を行う必要が生じた。当初大規模なアンケート調査を本年度中に実施する予定であったが、より精度の高い研究成果を出すために新たな事例の調査結果を反映させることが必要だと判断し、それらの調査を次年度に執り行うこととしたためである。加えて消耗品や旅費等の節減に計画以上に努力した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、広域を対象としたアンケートの作成、実施を行う。さらに研究成果のとりまとめに向けた会議の開催、成果の公表のための印刷等を行う予定である。
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