2015 Fiscal Year Research-status Report
電力自由化における再生可能エネルギーの推進と地域経済の活性化に関する研究
Project/Area Number |
26450322
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
大江 徹男 明治大学, 農学部, 教授 (60409498)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂内 久 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00712316)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 再生可能エネルギー / 節電 / 省エネルギー / 固定価格買取制度 / 太陽光発電 / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
第一の目標である再生可能エネルギー及び省エネルギー(節電)という2つの政策推進による原子力発電と温暖化ガスという2つのリスクを回避する電力システム構築についての検討に関しては、現在国内における固定価格買取制度の改定過程をドイツの再生可能エネルギー法の改定過程と比較することで評価、課題の析出を行っている。また、省エネルギー(節電)に関しては、HEMSやBEMS、ADRのような機器を駆使したより高度な省エネルギー(節電)機器の導入についてその傾向を検証することができた。 第二の再生可能エネルギーの普及による地域経済の活性化については、疲弊している地域経済を立て直すために不可欠な政策と位置づけている。とりわけ中山間地域における経済の活性化を促進させるためには、太陽光発電や風力発電に加えバイオマス活用にも重点をおいて、その普及拡大を進めることが肝要である。 バイオマスについてはすでに国内外のバイオエタノールの生産・普及状況、直面する課題について分析している。バイオマスは、太陽光や風力と異なり安定的に電力を供給することができるため、電力システム上問題が少ない有力な再生可能エネルギーである。また、林業の再生という観点からも重要な貢献が期待されている。バイオマスの導入についても、太陽光発電や風力発電と同様に先進的な取り組みを進めているヨーロッパを比較対象としながら、現地調査を実施するための準備として日本型の再生可能エネルギーを活用した地域活性化との比較整理を行ってきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで2011年以降の東京電力管区内における節電の実施状況についてアンケート調査及び聞き取り調査を実施してきたが、その結果、2011年から2013年までの3回におよぶ夏期の節電実施の結果から、原子力を除いた供給体制でも夏場のピーク電力需要に十分に対応できることを示すことでできた。つまり通年での節電体制が各職場において定着していることを検証することができた。また、最新の省エネ機器の導入とその効果についても一定程度確認することができた。 他方、再生可能エネルギーでは、太陽光発電に関する現地調査とその成果の取りまとめを行ってきた。太陽光発電の普及はわが国の再生可能エネルギーの中でもとりわけ著しいが、問題はコストと固定価格買取制度の有効性である。これまで実務的な観点から太陽光発電のコスト問題を検討するとともに、わが国の固定価格買取制度がドイツのFITと似て非なるものである点を明らかにしたうえで、現在の改定作業をめぐる論点について確認することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年度において海外、特にヨーロッパでの聞き取り調査、資料収集等の現地調査を行う予定である。取り上げる地域はドイツを予定している。ドイツは、再生可能エネルギー法の施行、数度にわたる改定過程を経て、2015年度には電力総消費量の1/3程度を再生可能エネルギーでまかなう自他ともに認める再生可能エネルギー大国である。しかしながら、消費者が支払う賦課金の負担が過重になり、その軽減策が求められているなど、これまでの積極的な拡大策が曲がり角に立っている。 そこで、これまで国内と海外との再生可能エネルギー拡大政策の比較検討が一定程度進んでいることを踏まえて、これまでの成果をベースに、現地における実態調査を実施する予定である。ドイツの再生可能エネルギーの普及拡大を今度どのように進めていくのか、ドイツ政府の対応が注目されるだけに現地調査は非常に重要な意味を有していると考えている。 特に、国内おいて固定価格買取制度の改定が進められているだけに、ドイツの法律改正等に関する正確な情報の入手と理解を求められる。
|
Causes of Carryover |
2015年度に海外調査を実施する予定であったが、国内と調査対象地域との比較分析の準備が間に合わず、調査を実施する機会を逸してしまった。海外調査を実施できなかった点が次年度使用額が生じた主な理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外調査については、再度比較検討をするための準備を迅速に行い、2016年9月に実施する予定である。
|
Research Products
(3 results)