2015 Fiscal Year Research-status Report
超高齢化農村コミュニティの再生-住民意欲醸成手法の開発
Project/Area Number |
26450331
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
荒樋 豊 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (20369276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 諭 秋田県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40240486)
石川 隆志 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20241680)
渡辺 千明 秋田県立大学, 付置研究所, 准教授 (50363742)
内山 応信 秋田県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30464556)
石山 真季 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (50636876)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超高齢農村 / 農村生活 / 日常的健康管理 / 農村活性化 / 高齢者農業 / アクティブシニア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、調査グループ内での情報交換をおこなうとともに、調査対象農村に頻繁に出向き、地域住民の生活実態等について調査把握を行いつつ、住民主導の地域活性化の取組への支援に努めた。 本研究における3つのアプローチの進捗状況は以下の通りである。 第一領域である元気な高齢者類型の析出については、地域活性化の取組に必ずしも参画していない地元高齢者にまでも対象を広げ、生活防犯に関するアンケート調査を行い、高齢者特性を見出すためのデータを収集した。 第二領域である高齢者向けの学習メニュー開発に関しては、次の諸点を積極的に進めた。①日常的健康への関心を醸成するため、高齢者自身による健康管理カード(健康カルテ)づくりを支援した。②地元高齢者に馴染みのある「秋田音頭」の楽曲を使った健康体操を開発し、住民が一同に集う機会(地域イベント時など)に一緒に踊る習慣づけを行った。③継続的に展開している、高齢者による朝市活動と地鶏肥育活動等の発展可能性について、月に1度の頻度で住民協議を重ねた。結果として、地元の集落を訪問する外部からの来訪者との交流を通し、それぞれの役割遂行の自覚が促され、集落レベルの交流対流型活性化実践を意欲的に担う高齢者が増えてきた。④廃校小学校調査の過程で、統合先小学校の教員との協議の機会が生まれ、調査対象集落のもつ伝統行事への現役小学生参加の教育的効果が想定できるとの判断の下、超高齢農村の盆行事に子どもが集うという取組が行われた。 第三領域である元気な高齢者支援体制づくりについては、三種町役場内で検討する機会が増え、企画課が主導するクアオルト活動(農村の自然を味わいながら散策を行うことで、心身の癒しを得ようとする健康活動)の対象地域に指定され、在住高齢者のアクティビティが増加した。また、健康維持のための各種学習会の実施や意欲づくりを進めるための行政支援のあり方を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、月1回のペースで、調査対象住民との交流を継続しており、研究メンバーも折りある毎交流をすすめ、住民からの強い信頼を受ける状況が生まれてきている。本研究の中核は、単なる観察研究ではなく、高齢者住民の意向を踏まえながら、過疎化している農村地域において、自らの手で地域の元気づくりを企画し、担うことを主眼においているため、研究メンバーからのアイデア提示の受容を可能にするような住民と研究者との信頼関係の形成が重要であり、それがおおむね果たされている。 現在展開している、高齢者による各種の取組について、その持続を可能にする条件等を明らかにすることが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
三年度目は、これまでの実践的な諸取組を総括し、元気な高齢者が担うことのできる活動の特性を検討する。 第一領域については、これまでのデータの詳細な分析をおこない、統計的な類型を導き出したい。 第二領域については、高齢者が主体的に展開できる活動(健康活動やちょっとした稼得行動(じっちゃん・ばっちゃんビジネスなど)の実現条件を明らかにする。 第三領域については、役場内に仮称であるが「元気な高齢者支援チーム」を形成し、高齢社会状況下での多様な高齢者支援について検討する。
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Causes of Carryover |
主な理由は、旅費の支出と人件費・謝金の支出が予定よりも少なかったことである。各研究分担者にとって、調査対象地域が比較的近いこともあり、当該経費を使用しない形で、現地調査を行うことができたこと、そして特定の講師を用意せずとも地元の重要情報を得ることができたことにより、計画よりも研究費の節約ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究メンバー間での予算執行に関する話し合いを行うとともに、基本的には当初計画に沿った執行に努める。また、次期は最終年度にあたるため、研究成果の充実を図るために、必要に応じて研究代表者による効果的な使用を行う。
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