2015 Fiscal Year Research-status Report
海外出稼ぎが南・西アジア農村の社会経済に与える影響についての実証的研究
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26450332
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
須田 敏彦 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (00407652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 隆一 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (70198901)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 南アジア / 西アジア / 海外出稼ぎ / 地震 / 農村経済 / イラン革命 / ネパール / イラン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、須田は主にネパールとバングラデシュ、原は主にイランにおいて現地調査を行った。 2015年4月にネパールで起きた大地震の被害は甚大であり、早急な住宅復興が急務である。須田は地震被害が大きかったネパール中部に位置するDhading郡の一農村の調査から、海外出稼ぎとマイクロファイナンスが住宅復興に果たす役割の重要性を明らかにした。その研究成果は、論文および大東文化大学で開催された国際会議での報告として発表された。 須田はまた、バングラデシュ・コミラ県の2村において、経済状態に関する全戸調査を開始した。バングラデシュでは、1990年頃から主に海外出稼ぎ者からの送金の増大と輸出向けの縫製業の発達により高い経済成長が続いている。今回の調査では、調査村における過去10年間の経済構造の変化が明らかにされることが期待される。 アフガニスタンの政治的混迷と経済的低迷により、多数のアフガニスタン人が難民や出稼ぎ労働者としてイランに流入している。イラン南部のマルヴダシュト市および近郊農村で原が行った農村調査では、6000人ものアフガニスタン人が滞在していることが明らかになった。原は、こうしたアフガニスタン人動労者から、生活と労働の実態に関するヒアリング調査を行った。また、「イランにおけるアフガ二スタン難民・移民・出稼ぎ労働者」について、イラン東部アフガニスタンの国境近くの農村で再調査を行う予定であり、イラン人の研究者と調査計画のうちあわせを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
須田は、2015年8月にネパールのDhading郡における一農村で、2015年4月に発生した地震被害の状況と主にダリット・カーストの海外出稼ぎ状況について現地調査を実施した。その成果は、論文「ネパールの海外出稼ぎ労働者」および国際会議での報告 “The Role of Financial Institutions and Foreign Employment in the Recovery from the Damage by the Earthquake in Nepal.”として発表された。 また、須田は2016年3月に、バングラデシュのコミラ県にある2農村において、バングラデシュ農村開発アカデミーの協力を得て、農村世帯調査を開始した。この2つの村では、海外出稼ぎとマイクロファイナンスを中心に、2006年から2008年の間に村の経済状況について、全戸調査を実施している。今回の調査では、その後の10年間で農村の経済状況がどのように変化したかを明らかにすることが目的である。 原は、2016年3にトルコ国の地方町カマンと、イラン国南部のマルヴダシュト町および近郊農村において現地調査を行った。トルコでは、中近東文化センターを訪問した。イランのテヘランでは、テヘラン大学世界研究学部を訪問し、ゴドラットーラー・ザーケリー研究員と共同研究の打ちあわせを行った。また、イラン国南部のマルヴダシュト町および近郊農村では、アフガニスタン人出稼ぎ労働者ヘの聞き込み調査を中心に現地調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年4月に起きたネパール地震からの住宅復興における海外出稼ぎとマイクロファイナンスの役割に関し2015年11月に国際会議で須田が行った報告は、同会議における他の報告ととともに著書として2016年度中に出版される予定である。ネパールで低カーストも含め海外出稼ぎが急増している背景と、それが農村経済・社会に与える影響については、論文として現在まとめている最中であり、今年度中に発表する予定である。 また、須田は2016年8月および2017年3月にバングラデシュで農村調査を行い、過去10年における農村経済の変化を、海外出稼ぎ者の増加と農村経済の多様化などを軸に把握し、その成果を論文としてまとめる予定である。 原は、イラン国南部のマルヴダシュト町および近郊農村においてアフガニスタンからの移民・出稼ぎ労働者からの聴き取り調査を中心に現地調査を実施する。また、かつて現地調査を行ったイラン東部アフガニスタンの国境近くの農村で、テヘラン大学の協力を得て、同テーマの再調査を実施する予定である。加えて、原がかつて出版した著書『イランの水と社会』(古今書院、1997年)をペルシア語に翻訳しイランで出版する計画が進行中であり、イラン人研究者の協力の下、その実現に向けて作業を進める。
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Causes of Carryover |
須田は、次年度(2016年度)主にバングラデシュにおいて長期ないし複数回の現地調査を予定している。しかし次年度の予算は、予定されている調査に十分な額ではない。そのため、2015年度の予算の一部を2016年度に繰り越すことで、2016年度に充実した調査を実施することができると判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度中、須田は、主にバングラデシュにおいて長期ないし複数回の現地調査を実施する予定である。調査の内容は、コミラ県の二つの村において、過去10年間の経済構造の変化とその理由、政策的含意などを、海外出稼ぎや農村経済の多様化をキーワードとして、2つの村の全世帯の悉皆調および関係者へのインタビューなどを通じて明らかにすることである。2015年度に生じた「次年度使用額」は、そのための費用の一部として使われる予定である。
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Research Products
(3 results)