2015 Fiscal Year Research-status Report
大区画水田造成の事例分析を通じた水田再整備の基準化に関する研究
Project/Area Number |
26450337
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山路 永司 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (10143405)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大区画水田 / 圃場整備 / 低コスト稲作 / 再整備 / 復興整備 / 地域活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の2年目である平成27年度は、国内外数地区において事例調査を行うとともに、圃場整備の原則論についての考察を深めた。 国内では、地域活性化のための再整備の事例として旭川市神楽地区、既存の標準区画における実際の農作業の評価としていわき市才ノ内地区、十和田市奥入瀬地域、北上市和賀中部地区、既存の中小区画の評価として、四万十川流域の傾斜地水田を、また復興圃場整備の事例として、いわき市舞子浜地区、宮城県亘理町鳥の海地区、国外では中国甘粛省(農地利用調整と節水稲作、再調査)および台湾台北市七星地区、新竹県弓林郷において、それぞれの目的の調査を行った。また、東日本復興に関する研究会に参加し、復興圃場整備事業のあり方を議論した。 以上の事例調査結果に基づき、そして既往文献等の整理を踏まえて、5つの視点からの分析結果は次の通りである。(1)営農の大規模化に関する技術としては、経時的に引退する層を見極めて利用権の集積をはかることの効用が明らかとなった。(2)圃場整備計画の技術としては、長辺長が270mであっても用排水管理が十分に行われている地域の存在を確認することができた。(3)大区画水田での機械化については、疎植栽培における田植え機の調整の困難性が明らかとなった。(4)汎用化および輪作体系との関係では、農業機械の汎用性も現場では課題となっていることが明らかとなった。(5)復興区画整理に関する技術としてはゾーニングが事業の伸展に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項(研究実績の概要)に示したとおり、平成27年度にも、国内外で多くの事例を収集することができ、加えて、既往研究や他地区の事例等を考察することで、中間的ではあるけれども、課題への解に近づくことができた。 一方、大区画圃場整備の先進地区における、長期的な課題については、調査することができず、事業の持続性という大きな課題への取り組みが、未だ不十分な状況にある。そこで、表記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度でもある研究の3年目は、以下のような計画とする。 国内事例調査は、対象地域を絞り込んだ調査とする。具体には、北海道旭川市、宮城県亘理町、千葉県佐倉市、埼玉県富士見市に絞り込む。これら地区において、ソフト技術(事前の交換分合、換地処分、利用権の設定、農作業の分担計画)およびハード技術(従前施設の利用・統廃合、小排水路の管路化、給水栓の設置密度、大区画における均平作業)の目標水準の考察と現場での達成状況を明確化する。 海外事例調査としては、台湾における長辺長の長い水田での補足調査と、アメリカ合衆国(もしくはオーストラリア)での調査を行い、大区画水田での各種技術の日本への適用性を考察したい。
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Research Products
(2 results)