2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of method for detecting fish in agricultural canals using DNA extracted from water
Project/Area Number |
26450348
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小出水 規行 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門 水利工学研究領域, 上級研究員 (60301222)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境DNA / 農業水路 / 水田生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究課題では,農業水路の水から抽出したDNA(環境DNA)の中に,ドジョウやタモロコなどの水田水域の代表魚類のものが含まれていないか検出することによって,各魚類の生息状況について推定する手法を開発する. 平成28年度は,本手法の有効性を確認するため,調査現地の農業用排水路において採水と魚類個体採捕を実施し,環境DNAから検出された対象魚種のDNA量と採捕個体数との関係について調べた.具体的には,岩手県奥州市のいさわ南部地区において,水路延長約3km区間内に6箇所の調査地点を設置し,採水と当該地域の保全対象種アブラハヤの個体採捕を行った.環境DNA抽出では,水路表層で採水した水1Lをフィルターろ過し,そのフィルター上の残渣から市販のDNA抽出キットを用いて抽出した.アブラハヤ個体の採捕は採水直後に行い,小型定置網を一晩仕掛け,翌日に採捕された個体を計数した.環境DNAに含まれているアブラハヤDNAの検出分析は,本種の種特異的プライマーを設計し,PCR増幅によって生成される産物量(アブラハヤDNAのコピー数)を推定した.ここでは,電気泳動によりDNAバンドの輝度を環境DNAに含まれているアブラハヤDNA量の指標とした. 結果として,アブラハヤのDNAは全地点から検出された.各地点のアブラハヤDNA量と採捕個体数を比較すると,DNA量は採捕個体数と正の相関を示す傾向がみられ,DNA量がアブラハヤの生息数を反映している可能性が確認された.今後は推定精度を高めるための採水量,時期,場所等の最適なサンプリング方法について検討し,本手法の実用化に向けた取り組みを行いたいと考えている.
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