2014 Fiscal Year Research-status Report
施肥溝切り機を用いた新型作業技術が長ネギ栽培の作業性と生育に与える影響の解析
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26450350
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
片平 光彦 山形大学, 農学部, 准教授 (20390940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 雅憲 秋田県農林水産部(農業試験場、果樹試験場、畜産試験場、水産振興センター及び林業研, その他部局等, 研究員 (10578272)
進藤 勇人 秋田県農林水産部(農業試験場、果樹試験場、畜産試験場、水産振興センター及び林業研, その他部局等, 研究員 (50390969)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 長ネギ / 施肥溝切り機 / 根 / 作業能率 / 側条施肥 / 作溝チゼル / 膨軟化 / 生育 |
Outline of Annual Research Achievements |
開発した施肥溝切り機での植え溝切りは,作業能率が1.31~1.76h/10a,溝幅50~52cm,溝深さ16~19cm,溝底幅19~20cm,側条施肥を溝底中央から水平に6cm,深さ2~3cm,作溝チゼルを深さ11cmで施工した。植え溝底中央部の矩形板沈下量は作溝チゼル施工区と無施工区との間に有意差を示した。定植作業は各試験区間に作業能率の差がなく,正常植えの割合が作溝チゼル・両側施肥区で86%と最も多くなった。植え付け姿勢は,作溝チゼルと簡易移植器による側条施肥の攪乱が溝底浅層の土壌膨軟化を誘引して改善した。 栽培した長ネギの草丈と分岐長は,生育初期での両側側条施肥区(A区)が他区より良好であった。葉鞘径は定植から49日後の片側側条施肥・作溝チゼル区(B区)と片側側条施肥区(C区)の間に差があった。窒素吸収量は生育初期で側条施肥区が全層施肥区(E区)より多く,生育後半で土壌膨軟化範囲の広い区で少なくなった。A区は他区と比較して商品収量が156~669kg/10a,軟白長が0.4~1.1cm,Lサイズ以上が3.9~12.7%増加した。ネギの新型作業技術では根を早期に施肥部位に到達させるため,両側側条施肥が有効である。 生育初期での長ネギの根数,総根長及び生育量を調査した。夏どり・秋冬どり作型で試験を行い,試験区はA区(作溝チゼル+施肥チゼル1本),B区(施肥チゼル1本),C区(作溝チゼル+施肥チゼル2本)を設けた。根長密度は夏どり作型で1.0~1.3mm/cm3,秋冬どり作型で0.5~0.8mm/cm3であった。ネギ根の縦方向の伸長は作溝チゼルにより増加するが,横方向の伸長に対する施肥チゼルと側条施肥の影響は判然としなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植え溝切りについては、施肥溝切り機で作成された植え溝に対する作溝チゼルと施肥チゼルの配置の違いが植え溝作成時の作業能率に与える影響、簡易移植器を用いた定植作業時の作業能率に与える影響について検証できた。土壌槽を用いたモデル試験で作溝チゼルによる土壌破砕範囲を歪みゲージを用いて解析し、有限要素解析を実施した。また、施肥溝切り機をほ場での栽培実験に供試し、長ネギの作業能率と定植精度を調査できた。 長ネギの生育・収量は、施肥チゼルを用いた側条施肥位置をネギ定植位置の両側と片側に設定し、土壌の膨軟化と併せて長ネギの根の伸長と地上部の生育量、窒素吸収量の変化を経時的に解析できた。 以上から平成26年に実施を予定した計画はおおむね順調に達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)作溝チゼルによる植え溝底同時作溝技術の確立:施肥溝切り機については、平成26年度に得られた知見を基に最適な作業機のセッティングを確定し、ほ場での作業精度と機械の効率的な運用に対する反復試験を行う。また、作溝チゼルに加えて施肥チゼルを配置したことによる土壌の破砕現象の数値解析を行い、新型作業技術がほ場に与える影響を明確にすると同時に、ほ場レベルで数値モデルとの比較検証を実施する。 (2)施肥位置と植え溝底の膨軟化が生育に与える影響の解明:施肥技術については、前年度に引き続きほ場での栽培実験を行い、異なる気象条件の下で施肥法と作溝の違いが生育と収量、発根量、窒素吸収量に与える影響を解析する。 (3)長ネギの新型作業技術の総合評価:新型作業技術の性能評価は平成26年の(1)と(2)の課題で得られた知見を基に、共同研究機関と協力して長ネギ生産現地での実証実験を行う。
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Causes of Carryover |
人件費の支出にあたり、単価の差額が発生したため、846円の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の人件費の支出に併せて使用する。
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