2014 Fiscal Year Research-status Report
周波数応答インピーダンス特性解析によるラメット識別判定法の開発
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26450361
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
元永 佳孝 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60334653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 航介 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50323960)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラメット識別 / クローナル植物 / 生体インピーダンス / 接地インピーダンス / 植生調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林などで行われている植物の個体群生態や生長特性などの植生調査では、クローナル生長(ルートサッカー・伏条などによる無性的な個体の広がり)で形成されたラメット群の存在が問題となり、掘り起こしを行う必要がある。その場合、調査対象の個体数や対象エリアなどでかなりの制約を受ける。 本研究は、既存の生体インピーダンス測定技術を応用し、植物体に微弱な交流電流を流して個体の接続性を特定する手法を確立することで、クローナル生長で形成されたラメット群の地下接続を、掘り起こしを伴わない非破壊計測で判定する技術の開発を目的とする。 本年度は、まず、生きた樹木の基礎的な電気伝導特性を詳細に把握するために性質の異なる二通りの計測系の構築を行なった。一つは汎用のオシロスコープ(信号検知・表示部)とファンクションジェネレーター(信号発生機)の組み合わせもので、任意波形を発生させて信号全体の概要を視覚的に把握するのに適している。また、大型樹木に対応して大きな負荷電圧をかけられるメリットがあるが操作性は煩雑である。もう一つは、LCR メーターを利用した計測系である。これは、波形の観察は出来ず信号出力も小さいが、精度が高く操作性は良いため、実験室での小型植物の反復計測に特に適している。 これらを用いて、土壌のインピーダンス特性、植物体内のインピーダンス特性、土壌と植物体の接地インピーダンス特性およびラメット植物体間のインピーダンス特性を計測した。その結果、土壌水分による周波数応答特性、電極距離による周波数応答特性を明らかにした。また、ラメット植物体の地下接続判定に有用な周波数領域の同定と計測手法の試作が行えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生きた樹木の基礎的な電気伝導特性を詳細に把握するために、オシロスコープとファンクションジェネレーターの組み合わせた計測系とLCRメーターを利用した計測系の二通りの計測系の構築が充分なレベルで達成されている。また、クローナル植物の樹体内に微弱電流を流した場合に、樹体内のインピーダンスが樹木の太さや大きさなどの因子に対する変動を明らかにするとともに、植物体から根を通して地面に電流が流れる際の接地インピーダンス特性計測から地下での接続の有無による電流の流れ方の違いを包括的に明らかにしている。以上の事から、本年度の研究計画を充分に達している。
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Strategy for Future Research Activity |
野外環境で前年度の基本的知見に基づいた以下の応用的な測定を行う。1:地面が有限(栽培ポット)から無限(大地アース)になった際の効果の検証、2:降雨による土壌水分環境の影響の定量化、3:2における土壌の団粒性の影響、4:計測対象が大型樹木になった場合の特性、5:落葉樹の光合成に伴う変化 これら測定によって、当該技術の野外での汎用性について詳細な検証を行う。計測機材は、初年度から引き続き使用する汎用のファンクション・ジェネレーターとオシロスコープのセットをリファレンスとし、これにPC接続型の簡易計測機を併用することで、精度チェックを行いながらフィールドでの利便性を高める。野外環境での計測では、外的因子(ノイズ)、耐候性などの問題も生じることから、計測精度と安定計測のための改良を随時行っていく。また、LCRメーターを用いて複数種の樹木のインピーダンス特性の計測を行い、維管束の形態と電気抵抗の関係性についても基礎データの収集を試みる。これらの事から、野外計測に有用な手法を確立し、実際の現場での実用性について明らかにする。
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Causes of Carryover |
基金、継続課題のためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成26年3月に旅費として既に使用済みである。
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Research Products
(1 results)