2016 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the effects of near-infrared laser irradiation on the in vitro development of mammalian embryos
Project/Area Number |
26450380
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
横尾 正樹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (10396541)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 近赤外光 / 初期胚発生 / マウス / 家畜 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日,体外で受精卵を生産して産子を得る受精卵移植技術は畜産分野では優良家畜の増殖は家畜改良に,医療分野(産婦人科領域)では不妊治療に欠かすことの出来ない重要な技術である。しかしながら,体外における受精卵の人為的操作は,受精卵の品質の低下を招き,さらには受胎成績(治療成績)の低下にもつながることから,体外受精卵の品質を改善する技術開発が強く求められている。これまでの研究で,受精卵の品質とミトコンドリア活性に正の相関が認められること,近赤外領域の光に細胞のミトコンドリア活性を向上させる働きがあることを報告している。そこで本研究は,近赤外領域の光が哺乳動物の初期胚発生におよぼす影響を明らかにすることを目的としている。 平成28年度では,近赤外光を照射したマウス胚盤胞の移植試験を実施して,本技術の有効性,安全性について評価した。移植試験の結果,近赤外光を照射した胚盤胞を移植した試験区では,照射せずに移植した対照区と比較して,受胎率が高い傾向があり(P=0.06),産子率が有意に高いことが示された(P<0.05)。また,得られた産子の発育を調査したところ,試験区と対照区に差は求められなかった。さらに,試験区のすべての産子で繁殖能力を有していることも確認した。 以上,本研究課題の研究結果から,近赤外光を応用した本技術は,哺乳動物胚の品質改善技術として有用かつ安全な方法であることが示唆された。今後,作用機序の解明や照射条件の最適化などの研究は必要であるが,本技術が,畜産分野や医療分野における生殖技術の発展に貢献できることが期待される。
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