2014 Fiscal Year Research-status Report
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26450383
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
天野 朋子 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (60388585)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / 着床 / 初期胚 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、初期胚におけるClock遺伝子(Clock)の着床能力に与える影響を精査するため、野生型マウスの雌雄、Clockの変異をホモに持つマウス(Clock変異マウス)の雌雄、Clock変異マウスの雌と野性型マウスの雄、野性型マウスの雌とClock変異マウスの雄の交配を行い、着床直後(交配後6.5日)の胎仔の着床の様子を調査した。この調査には、各処理区につき10-15ペアの解析が必要であり、H26年度に予定通り実施・終了した。本調査の結果から、Clock変異マウスの雌雄の交配における着床数は、7個/1匹であるのに対し、他の処理区では11-13個/1匹となり、有意に低いことが明らかとなった(P<0.05)。またClock変異マウスを雌雄、あるいは雌親か雄親のいずれかに用いた交配では、野性型マウスの雌雄を用いた交配に比べ、子宮内での着床の位置が、膣側に片寄る傾向が観察された。またこの傾向は、雌親か雄親のどちらかにClock変異マウスを用いた処理区に比べ、雌雄にClock変異マウスを用いた処理区にて有意に強いことが認められた(P<0.05)。これらの結果は、野性型、あるいはClockの変異をヘテロに持つ初期胚に比べ、Clockの変異をホモに持つ初期胚の着床能力が低く、初期胚におけるClockの着床能力への重要性を示唆していた。今後、初期胚におけるClockの役割をさらに解明するために、初期胚にて発現し、着床に機能することが知られているいくつかの遺伝子の発現量を、野生型の初期胚と、Clock変異をホモに持つ初期胚にて比較する予定である。この検討に先立ち、これらの初期胚の形態や、細胞数が同じであることを確認する検討を行っており、これまでに、野性型マウスの雌雄の交配、Clock変異マウスの雌雄の交配から得られた着床直後の初期胚には、形態的な差が認められないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着床機構におけるClockの関与を明らかにすることをH26年度の目標として掲げており、これを達成したため。一方で、次のステップである着床の分子機序におけるClockの関与について検討を前倒しで行っているが、その予備実験である初期胚の細胞数の計測や、その形態の正常性の確認の手技が予想外に困難であり、計画通りの遂行が難しい可能性が高くなってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
着床の分子機序におけるClockの関与について検討を進める。具体的には、H26年度に初期胚におけるClockの関与が示唆されたので、初期胚にて着床に機能し、その発現量が変化することが知られているCox2、Hrh2などの遺伝子の発現を、野性型の初期胚とClock変異を持つ初期胚にて比較する。
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Causes of Carryover |
H26年度に購入した試薬、機器などが、当初見積もっていた金額よりも安価であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度に予定している遺伝子解析には高価な試薬が多く必要となるので、来年度に配当される予算では不足する可能性が高い。この解析を充実させるための費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)