2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of grazing use of native grasslands on habitat status of Bull-headed Shrike -Evaluation of biodiversity based on the shrike-
Project/Area Number |
26450394
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡本 智伸 東海大学, 農学部, 教授 (70248607)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樫村 敦 東海大学, 農学部, 講師 (10587992)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | モズ / バッタ目 / 生物多様性 / 半自然草原 / 放牧 / 野鳥 / 食物網 / 野草地 |
Outline of Annual Research Achievements |
熊本地震による影響により,阿蘇地域における現地調査を平成27年度までと同様に実施することは難しい状況にあった。このため可能な範囲で別の調査地を設定して補完データを取得し,これまでに既に取得しているデータと併せて分析することで,解析精度の向上を図った。また,3年間の調査データを利用し総合的に次の解析を行った;1)植生とモズの時空間分布との関係,2)地形とモズの時空間分布との関係,3)放牧利用がもたらす植生の変化とモズへの餌資源供給機能との関係,4)モズによる有刺鉄線の止まり木利用と採餌行動。これらの解析結果を基に,モズのハビタット機能に影響を及ぼす主たる要因を抽出した。さらにモズの生息状況を指標として,野草地の適正な放牧利用管理の方策を考究した。 上記の解析を通じて、モズのはやにえ行動の季節性が明らかになった。また,植生とはやにえの質・量との関係について見出すことができた。前者においては,テリトリー形成に関わる行動が増加する時期,越冬に向けての貯食行動が増加する時期,育雛の時期など,モズの年間の生活周期との関係に加えて,主たる餌資源となるバッタ目の生活史との関係が見出された。後者に関しては,7科29種のバッタ目が出現し,放牧強度が比較的高い利用下で維持されている群落高の低い野草地で出現種数および個体数が最も多かった。その他,哺乳類(ネズミ目,ウサギ目,トガリネズミ目など)および爬虫類など,草地に出現する脊椎動物についても調査し,ジネズミおよびニホンカナヘビのはやにえについては確認された。 このように,群落高の低い野草地では,餌となるバッタ目の質・量が豊富なことに加え,モズが止まり木(有刺鉄線)からの飛び降り捕食において,餌の発見が容易であることも影響していることが示唆された。
|