2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450397
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 理絵 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 講師 (70431335)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プリオン病 / 補体因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
プリオン感染初代培養神経細胞における補体因子のプリオン増殖抑制効果を検討した。マウス胎仔大脳皮質より培養した神経細胞にスクレイピーChandler株、22L株、Obihiro株を感染させ、12、16、20日目の培養液中に最終濃度10%となるように正常マウス血清(以下NMSと示す。ほぼすべての補体因子を含む)を加えた。対照として非働化したNMS(以下H-NMSと示す)を培養液中に10%となるように加えた。血清添加 4、8日後に神経細胞を回収し、PrPSc蓄積量をウェスタンブロットにより解析した。Chandler感染細胞では感染16および20日目にNMS処理すると8日後にH-NMS処理と比較してPrPSc量が減少した。Obihiro株では感染12および16日目にNMS処理すると4および8日後にPrPSc量が減少した。しかし22L感染細胞では、感染12および16日目にNMS処理すると4日後にはPrPSc量が減少したものの、8日後には逆にPrPSc量が増加した。Chandler感染細胞では抗C1q、C3、C9抗体、22L感染細胞では抗C3抗体で前処理することによりNMSの効果が消失した。これらの結果から、補体因子はプリオン感染神経細胞におけるPrPSc蓄積量を変化させるが、その効果および反応する補体因子はプリオン株により異なることが示唆された。次年度は補体因子がPrPScの蓄積量に与える影響をin vivoで評価する。その予備実験として、ICRマウスに22L株を接種し、60日目にC3に対するshRNAを組み込んだレンチウイルスベクターを脳内に導入した。レンチウイルスベクター導入14日目にC3遺伝子発現とPrPSc量を評価した。C3遺伝子発現はshRNA非導入群と比較して約30%、PrPSc量は20%程度減少していた。in vivoの実験系ではPrPSc量の変化が顕著ではなかったが、これは採材部位がレンチウイルスベクター部位よりも広範囲であったためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は主に初代培養神経細胞を用いた実験系で補体因子がPrPSc蓄積量に与える影響を評価した。計画ではChandler、22L、Obihiroに加え、BSE、人のブリオン株でも検討する予定であったが、今年度はBSEと人のブリオン株の評価を行わなかった。しかし、次年度に行う予定のマウスモデルを用いたin vivo実験系での予備実験を行ったこと、また、初代培養神経細胞を用いた実験の成果は論文にまとめ、投稿準備中であるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoの実験系ではPrPSc量の変化が顕著ではなかったが、これは採材部位がレンチウイルスベクター部位よりも広範囲であったためと考えられた。今後は採材部位を狭めることと、組織切片上での免疫染色による評価によりさらに効果を検討していく。また、レンチウイルスの導入時期や採材時期についても検討を行い、最もPrPSc量に影響を与える条件を模索していく。
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Causes of Carryover |
消耗品のキャンペーンなどにより生じた誤差である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品に使用予定である。
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