2014 Fiscal Year Research-status Report
野生動物の疫学調査で使用するイムノクロマトグラフィの開発
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26450399
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 一郎 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 講師 (20374241)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イムノクロマトグラフィ / マストミス |
Outline of Annual Research Achievements |
2012~2013年にザンビア共和国において採材し研究実施者所属機関のP3実験室に冷凍保管しているマストミス血清サンプルのうち、量が充分あるものを選んで合計約2 mlをプールし、熱処理による非動化をおこなった。しかし、2014年1月にザンビア共和国で採材したサンプルについては、2014年度中に日本への輸送する予定であったが、到着が遅れており抗体精製に必要な血清量が確保できていない。 血清からの抗体精製、および外注による二次抗体の作製のためには非動化したプール血清を施設外への持ち出す必要があるが、施設管理者(人獣共通感染症リサーチセンター特殊空調施設運営委員会)から保管サンプルの施設外での使用については「ラッサウイルスが検出されないこと」を条件とするように求められているため、RT-PCR法によるラッサウイルス遺伝子の検出ステップが必要となった。血清からのRNA抽出過程においてウイルス粒子は完全に破壊されるため、血清プールから抽出したRNAサンプルは施設外に持ち出すことが可能である。このため、プール血清の一部を出発材料としてRNAを抽出し、P3施設外に於いてラッサウイルスのヌクレオカプシド蛋白質遺伝子に特異的なプライマーを用いてRT-PCR法を行うこととしたが、ラッサウイル遺伝の検出については個々の血清サンプルではなく、プール血清を対象とするため2014年採材の血清サンプルの到着を待って検査を実施する必要がある。 ザンビア共和国からのサンプルの輸送については、2014年度に取得したザンビア共和国からの輸出に必要な書類及び手続きが期限切れとなったため、2015年4月にザンビアを訪れた際に、家畜衛生局による衛生証明の取得、およびザンビア大学の学術サンプルである旨を証明する手続きを再度開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マストミス抗体の精製、およびマストミス抗体に対する二次抗体の作成(外注)はP2で行うことから高度安全施設(P3)外に持出す必要があるが、ラッサウイルスが検出されないことがP3から持出して使用するための条件として求められているため、血清サンプルから抽出したRNAサンプルについて、RT-PCR法によるラッサウイルス遺伝子の検出を行う必要が生じた。この検査はプール血清について実施するため、抗体の精製に必要な量のマストミス血清サンプルを確保するためには2014年に採材した血清サンプルの到着を待つ必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ザンビアのザンビア大学獣医学部内に保管している2014年採材のマストミスサンプルについて、2015年4月に輸出に必要な手続きを再開始した。凍結状態を保持して輸送する必要があるため、他の輸送サンプルと共に専用輸送容器(ドライシッパー)を用いて輸送を行う。 2014年採材の血清サンプルの到着を待つと共に、マストミス抗体の組換え蛋白質を作成し、これを抗原としてマストミス抗体に特異的な二次抗体の作成を開始する。また、マストミス以外の動物種については抗体を精製するためには血清サンプルの量が不十分であることから、組換え蛋白質を抗原として二次抗体の作成を行う。
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Causes of Carryover |
研究実施場所として高度安全施設(P3)を利用しているが、動物実験を伴わないため施設使用料金について、2014年度は不徴収となった。また、マストミス抗体に特異的な二次抗体の作製を外注する予定であるが、抗体精製に必要な血清量が確保できていないため、未執行となり、2015年度に繰り越す結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
施設利用料金として計上していた分については、高度安全施設内で使用する消耗品類の購入に当てる。二次抗体の作成費用(外注分)については、2015年度に執行予定である。
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