2016 Fiscal Year Research-status Report
動物の肝機能評価に有望なparaoxonaseの基礎及び臨床応用に関する研究
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26450405
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
堀井 洋一郎 宮崎大学, 農学部, 名誉教授 (80173623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 成晃 宮崎大学, 農学部, 教授 (50281853)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | apoptosis / butyrylcholinesterase / hepatitis / paraoxonase / Trichinella spiralis |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、27年度研究課題1「寄生虫感染時のPON1、PON2、PON3活性の変化と課題2の寄生虫感染によるPON1、PON2、PON3の変化が脂質の酸化や動脈硬化に及ぼす影響」については、国際誌に投稿中であったが、追加実験や修正を重ねたのち、採択された。 【本年度の成果の纏め】 Paraoxonase-1 (PON1) 活性は様々な肝臓疾患で減少するが、慢性の人獣共通寄生虫症である旋毛虫(Trichinella spiralis) が肝臓で炎症を引き起こし、肝細胞や肝機能に及ぼす影響、特にPON1活性への影響についてはほとんど分かっていなかった。旋毛虫とラットを用いた研究により確認できた以下の結果を公刊した。 (研究概要) 旋毛虫感染ラットは感染後2日目よりPON1 活性が減少し始め7週目まで持続した。同様に血清中のbutyrylcholinesterase (BuChE) 活性も4日目より減少し始め2週目まで持続した。血清中の炎症性サイトカインであるIL-1、 IL-6、TNF-αとマクロファージ活性化にかかわるMCP-1やMIP-1αは寄生虫の腸管内寄生期において顕著に上昇した。これに伴って抗炎症性サイトカインである IL-4や IL-10 の上昇が同時期および旋毛虫幼虫の筋肉内寄生期においてもみられた。肝臓内では炎症性細胞の浸潤や肝細胞のアポトーシスも亢進していた。時期を同じくして肝臓内のPON1および BuChE のmRNA発現も著しく抑制されていた。ラットにおける旋毛虫感染は肝臓での炎症を誘導し、その結果血清中のPON1 および BuChE の活性を低下させることが明らかになった。成果論文:Europ. J. Clin. Invest. 2017, 47 (3): 250-261.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画のうち、Trichinella spiralisを用いた実験では、投稿中の論文が採択され、公刊された。またNippostrongylus brasiliensisに関するマウスの実験結果も投稿準備中である。一方、課題3と課題4については症例を網羅できるだけの十分なサンプル収集ができなかったため、論文作成に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、1年の研究期間延長を申請し、承認されたことから、Nippostrongylus brasiliensisに関するマウスの実験結果を論文にまとめて、投稿することを最優先にしたい。今年中に採択まで持っていきたい。
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Causes of Carryover |
平成28年度中に投稿していた論文の査読に多大な時間を要し、28年度内に採択されるかどうかが不明であった。この理由で、印刷等の費用として予算計上していたものが支出できなかったため、1年間の延長を申請し承認された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
会議での報告に必要な旅費のほか、論文作成と投稿、印刷費用に充当する。一部、追加実験等が必要な場合には、消耗品費としても使用する予定である。
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