2015 Fiscal Year Research-status Report
ビブリオ・バルニフィカス生体内増殖因子の網羅的同定
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26450411
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
柏本 孝茂 北里大学, 獣医学部, 准教授 (50327459)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Vibrio / vulnificus / 敗血症 / トランスポゾン / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的; ビブリオ バルニフィカス (V.v.)感染症は、肝硬変などの肝疾患患者や鉄代謝異常を呈するヒトが汚染魚介類を摂食、あるいは、傷口からV.v.が侵入すること(創傷感染)で発症する致死的日和見感染症である。現在まで、生体内での増殖・拡散に必須の病原因子はほとんど明らかにされていない。本研究では、V.v.感染により死亡した患者より分離された株を使用して、タグを付加したトランスポゾンを転移させたトランスポゾン変異株を作製し、マウスに感染させ、Signature-tagged mutagenesis (STM)法により感染に必須な遺伝子を同定する。これらの遺伝子産物の機能を明らかにすることで、致死率が50%を超える本感染症の新規治療法開発に繋げる。 結果; 1)V.v.の創傷感染モデルマウスを用いて、生体内生存が不可能な変異株を70株得た。2)このうち、50株についてトランスポゾン挿入遺伝子を同定した。3)これらの遺伝子を機能分類した結果、運動性制御に関与する遺伝子が1/4を占めた。4)鞭毛の無回転変異株、鞭毛が時計方向へのみ回転する変異株、反時計方向へのみ回転する変異株を作製し、創傷感染における感染動態を野生株と比較したところ、皮下での拡散、筋肉内への侵入に鞭毛回転の適切な制御が必要であることが明らかとなった。 ビブリオバルニフィカス感染症は、敗血症で患者が亡くなることから、今後は、血液中への侵入など筋肉で増殖した後の増殖段階の解析に移行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在、機能確認の8割程度が終了している。当初の計画では、責任遺伝子の相補による機能確認の開始年度であったことを考えると当初計画以上の進捗である。これは、効率化を図るための測定機器の購入等でスクリーニング速度がアップしたことが大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度までに得られた結果を組織切片を作製して病理学的に観察により、ヒトの感染の際に認められる組織の壊死や水腫などの発生を確認する。また、皮下や筋肉での増殖の後、敗血症を引き起こすのに血中へ移行する段階に運動性が必須となるか等、次の感染段階における運動性の役割について検討する。
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