2015 Fiscal Year Research-status Report
xeno-free犬角膜上皮シートの作製と移植効果の検討
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26450422
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
都築 圭子 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30364251)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 角膜再生 / 犬角膜上皮細胞シート |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討で、犬の脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADMSCs)による幹細胞成長因子(HGF)の供給が犬角膜上皮シート作製におけるフィーダー細胞として有効である可能性が考えられたが、その作用は不明であった。そこで、当初の予定に加え、HGFが角膜上皮細胞に対してどのような作用を持つかを、薬剤として入手可能であるリコンビナント猫HGF(rfHGF)と猫角膜上皮細胞を用いて検討した。免疫染色から、未分化性の強い角膜上皮細胞や運動能保持が示唆される突起形成をもつ角膜上皮細胞にHGFの受容体であるc-Metが高く発現していた。また、ウエスタンブロットにより、HGF刺激後10-15分でc-Metのリン酸化が亢進し、下流シグナルであるERKのリン酸化が亢進することを確認した。また、HGF刺激により角膜上皮細胞の増殖能やコロニー形成能は影響を受けなかったg、運動能が有意に促進し、創傷治癒効果を促進させることを見出し、シート培養時のフィーダー細胞から分泌されるHGFはシート作製期間を短縮できる可能性が考えられた。しかし、犬ではADMSC等のフィーダーを用いない場合でも、用いた場合と同等の品質を示す角膜上皮シートの培養が可能であり、シート培養においてはHGF等の運動能促進因子は必ずしも必要ではないことが示唆されたことから、無フィーダーかつ成長因子非添加でのシート作製を試みたところ、2-3層のシートの作製は可能であった。4-5層のシートへの重層化にはインスリンおよびEGFの添加が必要であったが、本年度の結果から、犬角膜上皮シートの作製は他動物種と比較して要求される成長因子が限定的であることが予想された。現在、ここまでの成果で作製した犬角膜上皮シートの移植実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
完全なxeno-free犬角膜上皮シートの作製には至っていないが、犬角膜上皮シートは他の動物種と異なり、フィーダー細胞を必要としないことを明らかにした。得られたシートを用いて、実際に無縫合法による移植を試みたが、シートが安定せず剥離したため、移植実験に関しては計画に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
シート作製方法はこれまでの研究結果に準じて作製し、移植方法に改善を加える。無縫合では移植シートの安定性が保たれなかったため、縫合するが、以前の研究からは角膜への縫合は局所の炎症を生じ、混濁を誘発する可能性があるため、結膜への縫合に改変することを予定している。研究期間内に可能な限り長期間の予後を追跡する。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりシート作製に時間を要したため、研究費を比較的多く必要とする移植実験の開始が遅れたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通り、移植実験に用いる。
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Research Products
(2 results)