2015 Fiscal Year Research-status Report
T-TASを用いた犬の心房細動時における血液凝固能と抗血栓治療効果の評価
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26450425
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
福島 隆治 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10466922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 直樹 鹿児島大学, 獣医学部, 准教授 (80508036)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心房細動 / 犬 / 血栓形成 / 血小板 / 凝固系 / 高頻度心房刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
人医療において、心房細動が発現すると、血栓形成のリスク上昇することが知られている。しかし、心房細動発現後のいかなるタイミングで血栓形成傾向が認められはじめるか、さらにその変化がどのように推移するのかは知られていない。それを知ることは、血栓形成予防ならびに治療を考える上で非常に有益な情報となりえる。 平成27年度に実施した研究として、研究①:高頻度心房刺激による心房細動モデル犬を供試して、心房細動発現前、そして発現30分後の血液性状を心房血と末梢血のそれぞれで、活性化部分プロトロンビン時間(APTT)やプロトロンビン時間(PT)の測定という従来からの検査方法ならびに全血血栓形成観測システムT-TASを用いて評価した。その結果、(ⅰ)心房細動発現30分後には、血小板機能の亢進と血液凝固能の亢進の双方が発現すること、(ⅱ)その変化は、末梢血では認められずに心房血のみで認められること、(ⅲ)その変化は、従来からの検査方法では検出することが出来ないが、T-TASでは十分に検出可能であること、などを明らかにした。 研究②:前期の研究①と同様な手法を用いて心房細動発現後1,2,および3週間後、そして心房細動停止1週間後の血液性状の変化を評価した。その結果、(ⅰ)心房細動が持続するに従い経時的に血小板機能と血液凝固能の双方が亢進していくこと、(ⅱ)その変化は、血液凝固能亢進が血小板機能亢進に先行すること、(ⅱ)心房細動が停止すると約1週間で健常時の血液性状にほぼ回復すること、などを見いだした。 研究①と②より、心房細動と血栓形成タイミングについて多くの知見が得られたことから、獣医療に還元すべく日本獣医循環器学会定例大会において発表した(2演題)。また、共同研究者らのチームが臨床例における血栓形成能の評価をT-TASを用いて行い、その有用性を同じく日本獣医循環器学会定例大会において発表した(1演題)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度の研究内容を残し、当初の研究計画における研究内容のほぼすべてを平成26年度、平成27年度に終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成28年度は、犬において有効な血栓治療薬(あるいは予防薬)を見出す予定である。そのために、前年度までの結果を利用し、複数の候補薬剤を単剤ずつ該当モデル動物に投与しながらその反応を観察する。また、これまで得た結果を論文発表する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では供試動物としてビーグル犬を購入している。今回、他の研究・実習に使用し不要となった動物を本研究に対して供与していただいた。その結果、ビーグル犬の購入費を節約することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であり、当該年度内に追加実験を行う可能性がある。そのために、平成27年度の予算を平成28年度の供試動物代として利用する予定である。
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Research Products
(3 results)