2014 Fiscal Year Research-status Report
犬の血管肉腫の悪性増殖におけるMUC1様分子の役割の解明と新規診断法への応用
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26450426
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
酒井 洋樹 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40283288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 麻美 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (30597125)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 犬 / 血管肉腫 / peroxiredoxin 6 / 培養細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
犬血管肉腫由来培養細胞8株(JuA1, JuB2, JuB4, Re11, Re12, Re21, Ud2およびUd6)の細胞様溶解液で,MUC1様分子の発現を,抗ヒトMUC1 ウサギポリクロナール抗体(Abcam社)を用いてSDS-PAGE,ウェスタンブロッティングで検討したところ,JuA1, JuB2, JuB4,Re12, Re21, Ud2およびUd6で,22kDaに免疫反応を認めた。一方,Re11株では発現を認めなかった。さらに,このMUC1様分子の正確な分子情報を得るために,同じ抗体と発現が比較的強いJuB2の細胞溶解液を用い,免疫沈降法にて同抗体と結合する分子を精製し,同分子のN末端部のアミノ酸配列を解析した(島津テクノリサーチ受託)。その結果PGGLLLGDEAPNFEANTTIGの配列が得られ,データベースによる検索によりperoxiredoxin(PRDX)6であることが判明した。PRDX6に対する抗体を用い,犬の血管肉腫組織を免疫染色すると高率に陽性を示し,良性の血管腫では陰性であることがわかった。PRDX6は抗酸化酵素であるが,ヒトの肺癌,乳癌や中皮腫などで悪性増殖との関連が示唆されている。PRDX6が細胞外基質分解酵素系であるuPA/uPARシステムを介して,腫瘍細胞の浸潤増殖を促進することが知られているので,犬の血管肉腫と血管腫との間でのuPAとuPARの発現を免疫染色にて検討した。その結果,犬血管肉腫ではuPAとuPARの発現がみられ,特にuPAとuPARの両方が陽性を呈する血管肉腫では,Ki-67陽性率で示される細胞増殖活性がuPA-/uPA+の例に比較して,有意に高いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MUC1様分子の概要がペプチドシーケンス解析によってPRDX6であることが明らかとなり,今後の解析が進行可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
標的分子がPRDX6であることが分かったので,PRDX6と血管肉腫の悪性増殖機構との関連を解析する。さらに,血中への本分子の漏出があることが予想され,血液による診断のためのELISA系の確立を目指す。
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