2014 Fiscal Year Research-status Report
ブタ夏季不妊症精子の発症要因解析と新規治療法の開発
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26450427
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村瀬 哲磨 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (30303514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原山 洋 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30281140)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ブタ / 精子 / カルシウム / cAMP / コレステロール / 夏季不妊症 / 先体反応 / チロシンリン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,受精能獲得を調節する因子(コレステロール,Ca2+ と cAMP)と先体損傷及び先体反応誘起能力との関連を解析する目的で,1) 精子内におけるコレステロール含有量,Ca2+含有量およびcAMP含有量を測定する方法の確立,2) 先体損傷の解析方法の簡便化および3)先体反応の誘起方法の若干の修正を行った.その結果,1)市販のキットによる測定に供する前に行う必要のある精子からそれぞれの物質を抽出する方法を検討した結果,Ca2+含有量と cAMP 含有量測定においてはホモジェナイザーにより細胞を破壊することによる抽出は困難であることが判明した.むしろ撹拌と Triton X-100 による抽出,あるいは凍結融解の繰り返しによる機械的破壊が有効であると思われた.コレステロールの含有量については, Bligh & Dyer (1959) の抽出方法で抽出した脂質から薄層クロマトグラフィーにより展開した結果標準曲線の使用によりコレステロールの定量が可能であったので,この抽出方法により抽出したコレステロールを市販のキットに適用し測定することが可能と思われた.2)先体損傷の解析方法としてAlexa-標識 Peanut Agglutinin (Alexa-PNA) による先体染色を行った.研究分担者神戸大学原山洋教授との過去の報告でFITC-PNAを用いた先体染色法が確立されているが(Harayama et al., 2010; Mol Reprod Dev 77, 910-921.),ここではより蛍光が強く持続可能なAlexaを用いその染色を試みた.その結果,5 ug/ml の Alexa-PNA により染色可能であった.3)先体反応の体外誘起方法はすでに確立しているが,その反応速度が急速であったためサンプル間の比較が困難であった.そのため培養液へ添加する高分子化合物をPEGからPVPへ修正した結果,反応の進行が緩やかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
精子から測定目的の物質を抽出する方法の確立,先体染色方法の確立および先体反応誘起方法の修正というような実際のサンプルの使用をする前の準備段階の実験に時間を費やしたので,遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
確立された抽出方法(Ca2+,cAMPおよびコレステロール),先体染色方法および先体反応誘起方法を使用することが可能となったので,今後の研究ではこれらの方法を使用し,実際のサンプル中の濃度測定および先体反応誘起状況の比較を行う.また,精子におけるチロシン残基リン酸化状態を見る免疫染色法および平成27年度実施予定である体外受精の方法はすでに確立されている方法を使用する.1精液サンプルからCa2+,cAMPおよびコレステロール測定,先体反応誘起,免疫染色および体外受精を実施することが可能であるので,平成27年度においてはこれらの検討を進め,遅れを取り戻すことは可能である.
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