2014 Fiscal Year Research-status Report
人犬共通の緑内障感受性遺伝子SRBD1の詳細なゲノム解析
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26450436
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
印牧 信行 麻布大学, 大学病院, 准教授 (40139530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水木 信久 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90336579)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 緑内障 |
Outline of Annual Research Achievements |
SRBD1遺伝子領域を網羅する計19個のSNPsを対象に、柴犬145例(緑内障60例、非緑内障85例)とシー・ズー犬79例(緑内障27例、非緑内障52例)を用いてTaqManアッセイを行った。柴犬では、5個のSNPs(rs8584450、rs8844580、rs22018514、rs22018513およびrs9172407)が緑内障と有意な相関(P<0.05)を示した。これら5個のSNPsのうち、rs9172407において最も大きいオッズ比(OR)が認められた(OR=3.00)。シー・ズー犬では、2個のSNPs(rs8807390、rs9172407)が緑内障と有意な相関(P<0.05)を示した。これらの2個のSNPsのうち、rs9172407で顕著な相関が観察された(P=0.00011、OR=6.93)。柴犬の結果とシー・ズー犬の結果を統合したメタ解析により、rs9172407がイヌの緑内障において最も重要であると考えられた(P=0.000060、OR=4.57)。 rs9172407について、NCBIのBLAST(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を用いて、イヌとヒトの間でホモロジーを検索したところ、rs9172407は、ヒトのSRBD1上のChr.2: 45,609,587-45,609,592の位置に相当すると思われたが、ヒトのこの領域(Chr.2: 45,609,587-45,609,592)には、既知のSNPは存在しなかった。イヌのrs9172407およびヒトのChr.2: 45,609,587-45,609,592は、それぞれのSRBD1遺伝子内の同一のイントロン領域に位置していることが分かった。オンラインデータベース(Blood eQTL blowser)を用いて、ヒトのSRBD1遺伝子領域内のSNPsと遺伝子発現の相関を調査した結果、ヒトにおいて、SRBD1遺伝子領域内のSNPsが、遺伝子発現量の変動に有意な影響を与えていることが分かった。このことから、イヌにおいても、SRBD1遺伝子領域内のSNPsが、遺伝子発現量の変動に有意な影響を与えている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、イヌの緑内障の発症に直接関与するSRBD1遺伝子内の疾患責任遺伝子変異の特定を行うとともに、疾患発症に対するSRBD1遺伝子の作用機序の検討を行う。 現在までに、SRBD1遺伝子領域の網羅的なSNP解析を完了し、イヌの緑内障と最も顕著に相関するSNPを見出している。また、ヒトのSRBD1遺伝子の機能解析の結果から、人犬共通に、SRBD1遺伝子領域内のSNPsが遺伝子発現量の変動に影響を与える可能性を見出している。 以上より、本研究は当初の研究計画のとおり、「おおむね順調に進展している。」といえる。今後引き続き研究を進めることで、当初の目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
柴犬およびシー・ズー犬で見出したrs9172407がSRBD1遺伝子の機能に如何に関与するかを検討するため、rs9172407に起因するSRBD1遺伝子の発現量の変動を評価する。また、rs9172407が他の犬種においても緑内障のリスクファクターとなるかを検討するため、他犬種を用いてrs9172407の相関解析を実行する。
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Causes of Carryover |
SRBD1遺伝子の網羅的なSNP解析において、TaqManアッセイ用のプローブ・プライマーセットの構築に時間を要し、平成26年度に予定していた分の実験量に達しなかったため、当初使用する予定であった試薬・消耗品類の費用に未使用分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
柴犬およびシー・ズー犬の追加検体を対象としたrs9172407のSNP解析において用いる試薬・消耗品類の費用に使用する予定である。
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