2014 Fiscal Year Research-status Report
MRLマウスの精巣内卵細胞を用いた哺乳動物の性分化機構解明と雄性単性生殖への挑戦
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26450439
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大塚 沙織 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 助教 (10566152)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 性分化 / MRL/MpJマウス / 生殖細胞 / 精巣内卵細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常、哺乳動物の雌は卵巣内で卵のみを、雄は精巣内で精子のみを産生する。しかしながら、胎子期から新生子期のMRL/MpJマウスの雄は、精巣内で卵細胞も産生する。今年度は本表現型の責任遺伝子座の同定と、生後の精巣内卵細胞におけるDNAメチル化状態を解析した。 本表現型の責任遺伝子は2つあり、それぞれ常染色体とY染色体に存在する。特に常染色体上の責任遺伝子はMRLホモ劣性を示すことがわかっている。常染色体上の責任遺伝子を同定するため、精巣内卵細胞を産生しないC57BL/6 (B6)マウス由来のY染色体とMRLホモあるいはMRL/B6ヘテロの常染色体を有するMMBマウス513個体を作出し、精巣内卵細胞産生個体の遺伝型を解析した。精巣内卵細胞は、12個体で観察され、それら全てでMRLホモ型が見られたのは1番染色体の0.00-2.46cM領域のみであったことから、本領域が責任遺伝子座であることが推測された。 一方、これまでの研究から胎子期の精巣内卵細胞では同胎齢の卵巣内卵細胞同様、DNAが低メチル化状態であることがわかっている。今年度は生後14日齢の精巣内卵細胞におけるDNAメチル化状態をDNAメチル化酵素であるDnmt3a (DNA methyltransferase 3A)、ならびにメチル化シトシン(5-MeC)対する免疫組織化学的染色で解析した。その結果、精巣内卵細胞はいずれのマーカーに対しても陰性でDNAのメチル化は低レベルで維持されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までのMMBマウスの解析では9番染色体が責任遺伝子座として有力であったが、個体数を増やしたことにより、その可能性が低いことが判明した。しかしながら、1番染色体のセントロメア近傍に新たなマーカーを設置したところ、この領域が新たな責任遺伝子座候補として浮上してきたことから、大きなタイムロスなく研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス1番染色体0.00-2.46cM領域についてMouse Genome Informaticsで検索したところ、1.60-2.46cMの範囲に既知のタンパク質をコードする遺伝子が29存在することがわかった。これらの遺伝子の配列ならびに胎子精巣内における発現を解析し、精巣内卵細胞産生との関連を明らかにする。また、次年度以降に向け、1番染色体がMRLマウス、その他全てがB6マウスであるコンソミックマウスの作出を進める。 さらにトランスジェニックマウスを用い、胎子期精巣内卵細胞の分離法の確立を目指す。
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