2014 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ脂肪前駆細胞におけるゲノム編集を用いた細胞分化制御メカニズムの解析
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26450454
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
渡部 聡 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 主任研究員 (80391572)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / EndoGalC / target toxin / 細胞選択法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ゲノム編集技術が開発され、遺伝子改変を容易に行うことが可能になった。しかし、従来のノックアウト法とは異なりゲノム編集では薬剤耐性遺伝子を用いないため、遺伝子改変が起こった細胞を選択するために多大な手間と時間を要していた。そのため効率の良い新たな選択方法が求められていた。 一方、新世界ザルより下等な生物は全て細胞表面にαGal抗原(Galα1-3Gal-R)という糖鎖構造を持つ。この糖鎖構造はBS-IB4というレクチンによって特異的に認識される。また、このレクチンにタンパク合成を阻害する毒素であるサポリンを結合させたIB4-SAPを動物細胞に作用させると、この物質が結合した細胞に細胞死を起こす。その濃度は0.4-1.0 μg/mlと極めて低濃度であり処理時間も30分間で十分である。また、Endo-β-galactosidase C (EndoGalC)はウェルシュ菌から単離されαGal抗原を特異的に切断する酵素である。この酵素遺伝子を動物細胞で発現させると細胞表面のαGal抗原を除去することができ、IB4-SAP処理による細胞死を回避できる。 そこで、EndoGalC発現ベクターをhCas9発現ベクター、gRNA発現ベクターと細胞に共導入し、IB4-SAP処理を行うことで遺伝子改変細胞を濃縮する方法を開発した。これまでに、ブタ胎児繊維芽細胞、ブタ脂肪前駆細胞、マウス繊維芽細胞、マウスES細胞など、生物・細胞種を問わず遺伝子改変細胞の濃縮が確認でき、単離された細胞の約10%がbi-allelicなノックアウトであることが確認された。これらより、EndoGalCとIB4-SAPの組み合わせはCRISPRにおける遺伝子改変細胞の濃縮方法として非常に有効であることが示された。
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