2015 Fiscal Year Research-status Report
絶食・低代謝状態における繁殖生理メカニズムの解明―冬眠するクマをモデルとして―
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26450455
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪田 敏男 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (10207441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐鹿 万里子 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 助教 (30722954)
下鶴 倫人 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (50507168)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ツキノワグマ / 冬眠 / 肥満 / 心拍数 / 体温 / 脂肪 / アディポネクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度行った、北秋田市阿仁クマ牧場で飼育されている2頭のツキノワグマより深部および皮下体温ならびに心拍数の測定を行い、そのデータを解析した。その結果、冬眠部屋への導入が冬眠状態への移行を急激に進行させること、冬眠前半の妊娠および偽妊娠個体の内分泌状態(高プロジェステロン)は心拍数の上昇を伴わずに高体温を維持すること、さらに冬眠中期から後期における体温の波状変化は交換神経系を介して制御されていることが示唆された。 本年度は、一昨年と同様に、北秋田市阿仁クマ牧場にてメス5頭を対象にして、心拍・体温測定用ロガー(DST milli-HRT、Star-Oddi)を埋め込んで測定を行った。5月に繁殖用メス5頭を選抜して、交尾期(6~7月)にオスと同居させて妊娠するよう試みた。いったん9月にロガーを取り出しデータを吸い出し、引き続き同じ個体にロガーを埋め込んだ。1月に5頭の妊娠診断を行い、5頭中4頭が妊娠していることを確認した。その後、出産・哺育期間中の心拍数および体温の測定を継続した。1頭の妊娠個体について1~3月に出産および哺育の映像を撮影するために赤外線カメラを設置した。翌年度4月にすべてのデータを取り出した。5頭に埋め込んだロガーのうち2個が途中で紛失し、結果、3個のロガーについて心拍数および体温のデータが得られた。現在解析中である。また、1頭の妊娠メスは1月25~26日に出産し、出産および哺育状況を映像として記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は順調に4頭のメスが妊娠したので、妊娠メスの心拍数および体温をモニタリングすることができた。合わせて、活動期および冬眠期の尿中成分の変化についても知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
この冬に得られた心拍数および体温変化のデータを5月中に解析し、6月の国際学会(第24回国際クマ会議)および9月の国内学会(第22回日本野生動物医学会)にて発表し、さらに年内を目処に国際学会誌への投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度実施した研究のデータ解析およびまとめの部分が本年度回しになったので、次年度使用額を残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析およびまとめのための出張旅費および国際学会での発表旅費の一部に使用する。
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Research Products
(2 results)