2016 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of reproductive physiology under the condition of fasting and low metabolism - Hibernating bears as a model -
Project/Area Number |
26450455
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪田 敏男 北海道大学, 獣医学研究科, 教授 (10207441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐鹿 万里子 北海道大学, 獣医学研究科, 助教 (30722954)
下鶴 倫人 北海道大学, 獣医学研究科, 准教授 (50507168)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ツキノワグマ / 冬眠 / 心拍数 / 体温 / 妊娠 / 擬妊娠 / ロガー |
Outline of Annual Research Achievements |
北秋田市阿仁クマ牧場(くまくま園)で飼育されている5頭の成熟雌ツキノワグマを対象にして、胸部皮下に心拍・体温測定用ロガー(DST milli-HRT、Star:Oddi)を埋め込み、冬眠前から冬眠後の約6ヶ月間、心拍数および皮下体温をモニタリングした。また、9月、1月および4月に血液および脂肪組織を採取した。さらに、1月には超音波画像診断装置を使って妊娠診断を行い、その後、妊娠個体の行動を赤外線ビデオカメラにより記録した。。 実験に使用したツキノワグマ5頭の繁殖状態の内訳としては,妊娠個体2頭,偽妊娠個体2頭および非妊娠個体1頭であった.体温は,妊娠および偽妊娠個体では,9月の実験開始から冬眠導入時期(11月下旬)まで徐々に下降し,そこから上昇に転じた.さらに,妊娠個体で出産時期に相当する1月下旬に下降に転じ,その後は増減を繰り返しながら低値で推移した.一方,非妊娠個体では,11月下旬にいったん体温が上昇したが,すぐに低下し,その後低値で推移した.心拍数は,妊娠,偽妊娠および非妊娠個体すべてで,冬眠の導入と伴に低下したが,妊娠個体のみ胎子の発育および哺育期間中,他の妊娠ステータス個体よりやや高い値を維持した.妊娠個体の体温と心拍数との関係では,冬眠前時期(着床遅延期間)には両者はおよそ24時間周期の変化を示したが,冬眠導入後の胎子発育時期には高体温を維持しながら心拍数は一過性のピークを示し,出産後には体温と心拍数が同調して周期性のない数日間隔での増減を繰り返した.以上の結果より,冬眠前および冬眠中のツキノワグマにおいて,繁殖状態の違いにより体温および心拍数の変化に違いがあることが示された。
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